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あなたは、新たな発想でITの将来を描けるか?Gartner Column(1/3 ページ)

2011年は新しいIT業界への第一歩を踏み出す年になりそうだ。ITの価値をコストではなく、収益価値によっての証明が必要とされる。

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 2011年に入って、あっと言う間に2ヶ月が経過しましたが、4月から始まる2011年度の事業計画は出来上がりましたか。2011年も、2010年の続きとして計画を立てましたか。わたしは、昨年の末に実施した Gartner EXP CIO サーベイの結果を見て、今年は、新しいIT業界への第一歩を踏み出す年になりそうだとワクワクしています。皆さんは、そんなワクワクするような事業計画を立案しましたか。

ITの価値はコスト削減から収益拡大に

 昨年の10月末に、弊社は、東京・お台場で、ガートナー Symposium /ITxpo 2010を開催しました。多くのお客さまにご来場いただきましたこと、この場を借りて御礼を申し上げます。ありがとうございました。さて、そのシンポジウムでは、海外からも多くの講演者が来日しました。その中の一人、わたしが所属している、エグゼクティブ・プログラムのグローバルヘッド (簡単に言うと、わたしの上司です) である、シニア・バイス・プレジデントのデール・カトニックが、次のようなことを講演で話していました。

 「2015年までに、新しいGlobal 2000企業のほとんどで、ITの毎年の収益によってCIOの年俸が決定される。」

 日本のGlobal2000級の大企業で、CIOと言えば、他部門と兼務している方が多いと思いますが、ここでは明確にCIOの職務での収益だけを指しています。これは、ガートナーが発表している、戦略的プランニングの仮説事項(SPA)の1つです。SPAは、将来発生しうる様々な事象やシナリオに、実現可能性を付与し示した「提言」です。この講演を聞いていたお客さまから、わたしへの意見は、次のようなものでした。

 「Global2000企業ということは、日本企業も含まれるのでしょうか。日本企業のほとんどは、大卒何年目、総合職7級、就任3年目などということで給料が決まっていますが、そういう給与体系が変わるということでしょうか。日本の終身雇用に基づいた給与体系は、そんなに簡単に変わるとは思えません。」というものでした。わたしも、伝統的な日本企業に勤めていた経験があり、このお客さまのご意見は分からない訳ではありませんが、この先5年間の変化を予想することも拒んでいるのかと思うと、悲しい気持ちになりました。読者の皆さんはどう考えますか。

 話を元に戻しますが、弊社の米国本社からやってきたデール・カトニックの話は、人事給与体系だけの話ではありません。ITの価値をコストで証明するのではなく、ITの収益価値によって証明しようという内容なのです。

 多くの日本のITエグゼクティブが、ITの価値をコストで証明してきました。ITコストは、他の手段(主に人件費)に比べて安価であるから優位であると、経営に訴えてきました。これは、IT以外のコストとITコストとを比べて、どちらが優位かという議論で、経営者は、有利なリソースを単純に選択してきたでしょう。しかし、その時代もそろそろ終焉を迎えています。ITに置換した方がコスト的に優位だという領域は、すでに社内に、ほとんど残っていないからです。そして、とうとう、多くの経営者が気付いてきました。

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