あなたは、新たな発想でITの将来を描けるか?:Gartner Column(2/3 ページ)
2011年は新しいIT業界への第一歩を踏み出す年になりそうだ。ITの価値をコストではなく、収益価値によっての証明が必要とされる。
驚くべきIT予算の支出先
図1はガートナーが実施した調査に基づいて、IT予算が利用されている領域を3分割して円グラフで表示したものです。3分割とは、「販売」というお客さまから注文をもらう瞬間を軸にしたプロセスに基づいて3つの領域に分割しています。つまり、「販売前プロセス」、「販売時プロセス」、「販売後プロセス」の領域になります。すごく極端に見えるかもしれないこのグラフですが、残念なことにほとんどの企業で見られる傾向なのです。この3つの領域に関して、ポートフォリオの割合を大きく転換しなければ、「ITの収益価値」を向上させることはできません。
「ITの仕事はね、やって当然、やれなければバッテンだからね。どんなに苦労して、納期に間に合わせたかとか、どんなに難易度の高い調整をやってのけたとかには関係なく、出来ればOKで、出来なければバッテンというのが我々の評価なのだよ。」とは、わたしが以前に企業のIT部門でプロジェクトや、企画を担当していた頃に、先輩や上司からいつも聞いていた言葉です。正直、ITの仕事に将来は無いかもな、と考えたりもしました。そして、その理由としてコスト削減効果でしかITの存在理由を説明できないならば、当然のことだと思っていました。ITの仕事が3Kとか7Kなどと揶揄(やゆ)される根本的な原因はここにあるのではないでしょうか。しかし、どこででも聞かれる常識のような「ITは、やって当たり前」が覆る日が、今ここに来ています。図1の販売前プロセスに投資をして、自社の収益拡大に積極的に関与して貢献するのです。CIO/ITエグゼクティブには、そのようなリーダーシップが求められています。
表1はCIOサーベイ2011の結果です。グローバルのCIO2000人強に「貴社のCIOへのビジネス面での期待事項は何ですか?」との問いに対するフリーコメントの結果を集計し、ランキングしたものです。今回、昨年、一昨年と続いた後向きの傾向からは一変しています。「企業成長を加速する」というのが、堂々の第1位で、第2位は「新規顧客を獲得し、維持する」となりました。どちらも、ビジネスを成長させることに貢献を求める傾向が見えませんか?ちなみに、昨年、一昨年とも、「ビジネス・プロセスを改善する」が第1位で、次いで「企業コストを削減する」でした。もちろん、景気動向も影響しているでしょうが、どちらかと言うと成長よりもコスト削減の戦略でした。このような後向きの戦略を立案していた企業に対して、CIO/IT部門への期待は大きく変化すると半数以上のCIOは考えています。CIO/IT部門へ期待する方向性が変わるならば、CIO/IT部門も変わらなければなりません。
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