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世の経営者・管理者よ、分かるかなあ?“自問と自省のすすめ”を生き残れない経営(2/4 ページ)

最大手エレクトロニクス企業の1つA社の一事業部門を統括するB専務取締役は、「反省をしろ、反省のないやつは進歩がない」が口癖だった。

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 (2)わたしはどのように時間を使っているのか

 来る日も来る日も、そもそも他から設定された会議に時間をとられる。その上、予期しない事態が頻繁に起こる。不良だ、事故だ、お客の要求だ、人間関係のトラブルだ、……夜の帳が下りて周囲が静まる頃、やっと自分の机に座ることができてホッとするが、今度は目の前の書類の山を片付けなければならない。片付け切れなくて、自宅に持ち帰るか、休日出勤して片付ける。どこに優先課題を達成するために割ける時間があるのか、……教えてもらいたいとコボシたくもなる。

 しかし、リーダーがどのようにタイムマネジメントをしているかは、本人にもチームにも重要だ。部下は、リーダーの動きを見ている。事業の優先課題と自分の行動とチームの行動には、一貫性が求められる。だからこそ、自問自答すべきなのだ。

 (3)部下たちに、そして部下たちから、タイミングよいフィードバックを与え、得ているか

 その女子社員が指摘する欠陥は別にしても、彼女とのやり取りの姿勢は見上げたものだと、いやに感心したトップの例である。中堅電子部品販社の本社内で、毎年年末に仕事納めの会がある。トップ始め幹部が各部署を廻り、ねぎらう。中年の単身女子社員A子は酒が好きで、酔うと怖いもの知らずだ。会も終わりの頃、トップがA子の所属する部署へ回ってきた。しばらく雑談をするうちに、酔ったA子がトップに物申し始めた。「大体、社長は細かいんだよね。仕事であんなに細かくされると、困るんですよ。重箱の隅を突付くようなものでねえ」、A子は身振り手振りで、くどくど話す。「社長たるもの、もっと大きな仕事をしてもらわないと、会社が困るんですよ」。周囲の者は、誰も止めようとしない。トップは、内心は計り知れないが、終始平静を装うように、笑みを浮かべて、一言も反論せず聞いていた。何ヵ月か後に、勤務査定会議があり、A子の所属部長がA子の日頃の業務ぶりに加点を要求したところ、トップは黙って認めた。

 願わくば、A子のようなフィードバックが年末だけでなく、日常行われていればいいが。近年上司が、部下に業務上の注意や指導を与えない傾向にある。昔はゴルフ場でさえ上司が部下にうるさくマナーを注意したものだが、近年見かけない。部下から嫌われやしまいか、部下の士気をくじきやしまいかと、恐れるのだ。一方、多くの上司は部下からのフィードバックを厄介極まりないと避けたがる。しかし、部下は上司の長所短所をよく知っている。とはいうものの、犠牲を払ってまで指摘しようとは思わない。

 リーダーが部下に率直に物を言い、部下の話す「恐るべき事実」に耳を傾ける努力をすれば、業務改善につながる。だから、自問自答をしなければならないなのだ。

 (4)後継者候補を少なくとも1人、あるいは数人選んでいるか

 仕事を抱え込むリーダーが、少なくない。抱え込まれた部下は、楽なこともあるし、申し出てトラブルのも嫌だから、放って置く。社内の士気は下がる一方だ。

 リーダーが自分は有能だ、どの部下よりも仕事ができると信じて介入することもあるが、リーダーの性格によるところも大いにある。後継者候補を胸のうちに秘めておくだけで十分だ。権限委譲が行われ、部下の育成とキャリア開発を重視していることが伝わり、部下が育ち、チームがうまくまとまる。だから、自問自答が必要なのだ。

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