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「組織の壁を壊すことがWeb最適化への第一歩」――リクルート、友澤大輔氏ITmedia エグゼクティブセミナーリポート(2/2 ページ)

情報誌やインターネットなどさまざまな媒体を手掛けるリクルートは、紙からWebへ事業の軸足を移しつつある。そのために同社では、各事業での実践的なマーケティングノウハウの実践のみならず組織に横串を通す組織を設立するなど、全社を挙げてWeb媒体の収益化につなげる活動を推進している最中だ。

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自前でバナー広告を配信し広告効果を高める

 友澤氏によると、リクルートのネットマーケティングにおけるスキームは、アライアンスやサーチワードといった外部の集客手段と、SEOやメールなどを用いた自前の集客手段の双方を駆使して自社サイトへのアクセスできる限り増やし、データ分析を基にWebサイトに講じた何らかの仕掛けによって、カスタマーがアクションを起す割合を高めることが基本となる。その最適化に向けた活動の具体例として友澤氏が挙げたのが次の3つである。

 1つ目は、同社の様々なWebサイトの閲覧者=Audienceに着目した、バナー広告による集客だ。そのために同社ではCookieによるターゲティングを利用したバナー広告配信サーバを自前で運用。様々なユーザー特性に合わせた配信などを行うことでユーザーの利便性を高めつつ、無駄なコストを減らす努力を続けているという。そしてここで蓄積されたノウハウは様々なクライアントが利用できる形で商品化されている。=Recruit Audience Network

 「広告を配信先となるターゲットの定義を拡大した場合、CTRは(Click Through Rate)確かに下落するもののターゲット数は逆に増えるため、結果として総クリック数が増えたケースは決して少なくない。試行錯誤しつつ柔軟にセグメント設定を変更できるのも、配信サーバを自前で運用しているからこそなのだ」(友澤氏)

ビジネスルールを説明する手間を惜しむな!

 2つ目は、外部のコンサルタントとの協業によるデータ解析とA/Bテストだ。なお、A/Bテストとは、画像や説明文など複数パターンの素材を用意し、それらを入れ変えたWebサイトやバナー広告などを並列で公開・配信し、利用者の反応を探る方法である。もっとも、この手法はコンサルタントとの連携が必要なだけに、取り組むにあたっては注意すべきこともあるようだ。

 「実は当初、当社がどこで儲けており、そのポイントがどこにあるのかを十分に説明できておらず、コンサルタントの提案内容の質は低かった。最終的にROIを約300%改善することに成功したが、取り組みを成功に導く上で、ビジネスルールを相手に理解してもらうことを欠かすことはできない」(友澤氏)

メールの使い方を工夫することで収益向上も

 3つ目は、メールによる地道な集客である。そこでのポイントは会員登録作業や商品購入の完了など、各種のアクションをトリガーにした配信の自動化であり、その結果、会員全体に対する各種のアプローチと、低コストでの運用を実現できる。また、メールの文面にちょっとした工夫を凝らすことでも、思わぬ改善効果を期待できるという。

 「メルマガには打ち手に手詰まり感があるのは否めない。だが、メールそのものにはまだ可能性は少なからず残されている。そのことは自動配信メールによって数億円の利益を新たに創出することに成功している当社の例からも明らかだ。しかも、実践にあたってのコスト面のハードルも極めて低い」(友澤氏)

 メールの重要性に気付き、その活用に改めて本腰を入れる企業が今後、増えていきそうだ。

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