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iPadの社内業務活用、ネットワークの整備が不可欠iPadで躍動する職場(1/2 ページ)

社員や会員パートナーに向けて4000台ものiPadを採用したTKC。デバイスの特性を生かし、業務の効率化を図るためには、インフラ環境の整備が絶対だという。

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 Appleのタブレット型端末「iPad」が発売されてから間もなく1年が経とうとしている。コンシューマー市場においては確固たる地位を築いたといえるが、企業におけるビジネス活用も進みつつある。

 会計事務所に情報サービスを提供するTKCは、iPad発売早々に4000台のiPad(Wi-Fiモデル、32ギガバイト)を採用したことで話題を集めた。うち約3300台を同社のシステムを利用する税理士や公認会計士(会員)に無償で貸与している。

営業企画本部 次長の金森直樹氏
営業企画本部 次長の金森直樹氏

 同社はこれまでも会員に対して、PC、会計システムや納税システムなどを提供してきた。このたび、会員が事務所以外の場所でもメールのチェックをしたり、会計制度や税法の最新情報などが配信される会員向けイントラネット「ProFIT」にアクセスできたりするよう、モバイル性に富んだiPadを提供し、業務のさらなる効率化を支援する。

 ProFITは日常的に更新される。そのため、会員は1日の中で数回、PCでProFITにアクセスしている。そこで、ProFITをiPad向けにサービスをカスタマイズするとともに、ネットワーク環境の整備に取り組んだ。TKCの営業企画本部で次長を務める金森直樹氏は、「単にiPadを配っただけでは意味がない。いつでもどこでもインターネットにつながる環境があって初めてメリットが生まれる」と強調する。

 これまで会員向けに提供してきたネットワークの仕組みをリニューアルすると同時に、全国56カ所の営業拠点に無線LAN環境を整備し、研修や打ち合わせで来社した会員がすぐにiPadでインターネットを利用できるようにした。iPadの無償貸与を含め、その投資額は2億数千万円に上る。ここからもTKCの意気込みがひしひしと伝わってくる。

 ただし、iPadが唯一のデバイスではない。折しも日本ではいくつかのメーカーからスマートフォンやタブレット型端末が相次いで発売されており、TKCでも今後は「(必ずしもiPadに限定せず)色々なデバイスに対応し、会員の選択肢の幅を広げていきたい」と金森氏は述べる。

社員720人にもiPadを貸与

 会員への貸与と並行して、課長職以上の社員720人にもiPadを貸与し、社内業務の改善を図った。具体的には、モビリティというiPadの特徴を生かし、業務と業務の間に生まれる“スキマ時間”を活用することである。

 iPadはあくまでPC業務を補完するデバイスであり、PCで行うすべての業務をiPadに置き換えることは難しい。日常業務におけるiPad活用といっても、基本的にはメールとWebサイトの閲覧、電子ファイルの共有程度だという。しかし裏を返せば、PCが置いてある職場の自席から離れても、すなわちPCがなくても、こうした業務を継続できるのがiPadのメリットといえる。

「会議中にちょっとした情報が欲しいとき、その場ですぐにWebサイトで検索したり、イントラネットからデータを引き出せたりするほか、移動中にメールもチェックできる。自席に戻らずに仕事することで業務時間を減らすことが可能だ。ここにiPadの価値があるのではないか」(金森氏)

 ペーパーレスによるコスト削減効果も見込む。同社では、社内外問わず多くの会議が存在しており、その都度、大量の紙を配布していた。iPad導入により、例えば、配布資料を事前にPDFファイルで参加者に提供し、会議中はiPadで閲覧するよう指示するなど、早くも会議におけるペーパーレス化の取り組みが始まっているという。

 また今後は、社員研修や会員向け研修を集合形式で行うのではなく、iPadを使ったeラーニングで実施したいという考えもある。

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