iPadの社内業務活用、ネットワークの整備が不可欠:iPadで躍動する職場(2/2 ページ)
社員や会員パートナーに向けて4000台ものiPadを採用したTKC。デバイスの特性を生かし、業務の効率化を図るためには、インフラ環境の整備が絶対だという。
無線LAN環境は必要不可欠
やはり、こうした取り組みを進める上で重要なのが、iPadをいつでもどこでも使えるための社内ネットワーク環境整備だと、金森氏は繰り返し強調する。会員も含めたiPadの一斉導入に合わせて2010年9月に運用が始まった無線LAN環境は、構想から2年の時を経て実現したものだった。
全国に56カ所ある事業所の研修室および会議室に400台の無線LANアクセスポイントを構築し、2種類のSSID(Service Set Identifier)を設けた。ひとつは、社員および会員など外部の来客が利用できる公開用SSID、もうひとつはイントラネット接続など社員のみが利用する社内用SSIDである。このように利用者に応じて、自動的にネットワークが切り替わるような仕組みを作り、セキュリティを強固にした。
会員は、研修や会議に参加するためにTKCの事業所に来ることが多い。しかし、無線LAN環境の構築以前は、たとえ会員がPCを持って来たとしても、インターネットにつなげることができず、自前でモバイルLANカードを用意して使っていた会員も少なくなかった。「今では会員がiPadさえ持って来たら、自由にインターネットを利用できる。さらに、顧客のBCP(事業継続計画)の観点から、当社の会議室を会員のサテライトオフィスとしても活用してもらいたいという狙いもある」と金森氏は力を込める。
このように、4000台ものiPadを会員および社員に一斉貸与できた背景には、経営トップの強い意志の表れだという。TKCでは会長、社長をはじめ役員自らがiPadをはじめとするスレードPCに以前から高い関心を示しており、新しい技術に対して前向きな姿勢を見せている。「iPadを会員や社員に貸与することで、業務の効率化と、顧客満足度の向上を実現し、新しいイノベーションを発掘できるという経営者層によるトップダウンの信念があったからこそだ」と金森氏は強調した。
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