ファシリテーター型リーダーの「巻き込み力」〜その1:エグゼクティブのための人財育成塾(2/3 ページ)
強い日本の再興に向け、国や企業を動かしていくリーダーにはどのような力が必要なのか? グローバル化の進展と日本市場の超成熟化が、ビジネスの多様性を大きく高めた。さらに、この度の震災は日本企業にBCPの必要性を改めて突きつけ、今後の成長戦略策定の難易度を上げた。このような環境下で変革を成功裏に収めるためには、国も企業も「自前主義」にこだわってはならない。自身よりも優れた、あるいは自身の足りない部分を補完してくれる能力を持つ他者をうまく巻き込み、最終的な目的を達成するためのプロセスと場をマネジメントするリーダーシップが求められるのである。
ファシリテーター型リーダーとは何か
「ファシリテーター型リーダー」という言葉は、読者の皆さんにはあまり耳慣れない言葉かもしれない。しかし、ファシリテーションに関しては、皆さん良くご存じのことと思う。会議などを運営する能力として、最近は人材育成プログラムの一つに取込んでいる企業も多いと思う。言うまでもなく、必要なメンバーに積極的に参加し、活発に意見を出してもらう、会議の目的を達成するために必要なスキルである。
このような会議をうまく運営するスキルは、「狭義」のファシリテーションと言える。「広義」のファシリテーションは、ビジネスの目的を達成するために、必要な会議を企画し、必要なメンバーに参加してもらい適切な結論を導き、その結果を実行に移し、実行結果に応じてまた必要な会議を企画するというプロセスを繰り返して、ビジネスの目的を達成する能力、つまりビジネスの目的を達成するためのプロセスと場をマネジメントする能力である。
言葉で書くと簡単だが、これを実行するのはどんどん難しくなってきている。なぜならば、上述したようにビジネスが多様化していると同時に、人や組織も多様化してきているからである。
時代背景に応じ、右肩上がりの時代には親分肌の現場監督型リーダー、あるいはスーパーマン型のリーダーが、市場の成熟化が進む時代には企業のあるべき姿を描くビジョナリー型リーダーが必要だと言われた。内部・外部環境の多様化が加速度的に進む現代では、どのようなリーダー像が求められるのであろうか。
それは、統率力だけでも個人力だけでもなく、会社方針に応じた自分なりのベクトルを作り、必要に応じて内外・上下左右の人材を巻き込んで、適材適所で全員をファシリテーターにしながら、ビジネスゴール達成に向けて一連のプロセスと場をマネジメントできるリーダー、つまり「ファシリテーター型リーダー」なのである。(図1参照)
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