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ファシリテーター型リーダーの「巻き込み力」〜その1エグゼクティブのための人財育成塾(3/3 ページ)

強い日本の再興に向け、国や企業を動かしていくリーダーにはどのような力が必要なのか? グローバル化の進展と日本市場の超成熟化が、ビジネスの多様性を大きく高めた。さらに、この度の震災は日本企業にBCPの必要性を改めて突きつけ、今後の成長戦略策定の難易度を上げた。このような環境下で変革を成功裏に収めるためには、国も企業も「自前主義」にこだわってはならない。自身よりも優れた、あるいは自身の足りない部分を補完してくれる能力を持つ他者をうまく巻き込み、最終的な目的を達成するためのプロセスと場をマネジメントするリーダーシップが求められるのである。

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ファシリテーター型リーダーに求められる要件

 多様化に対応できるリーダーであるファシリテーター型リーダーには、どのようなスキルが求められるのだろうか? 例えば、昨今多くの企業が取り組んでいるオフィスビルでの「環境対応ソリューション」を作ろうと考えたとしよう。このソリューションの構成要素は、温度、湿度、照度などを計測する各種センサー、計測値を分析するソフト、電力などを制御するスマートメーター、これらすべてをつなぎ合わせるネットワークとサーバーなどである。

 さらに、ソリューションとして導入するお客さまが運用できるようにするために、環境ポリシーの策定とその運用プロセスと体制の構築が必要となる。これらの技術要素を全て開発し、コンサルティングまで提供することを1社だけで行える企業はほとんど存在しない。そもそも、自社でどのようなことに取り組むべきかという「ビジネス着想力」が必要であるが、それを実現するためには内外の必要な他者を「巻き込む力」が必要なのである。

 また、巻き込む他者も多様化しているため、従来のリーダー以上に高いコミュニケーション能力なども求められる。例えば、グローバル化という観点から考えてみると、当然のことながら日本とは価値観の異なる文化で生活してきた人の言動に対する理解力が求められる。

 日本社会でも、ゆとり教育で育ってきた、そしてITネイティブといわれるほど子供の時からPCや携帯電話を使いこなしてきた新たな価値観を持った人の力を引き出さなければならない。

 つまり、自分の力だけで周囲を引っ張っていくというよりは、自身の力を最大限に出しつつ、必要な他者を巻き込んで、その人たちの力を最大限に発揮してもらうためのスキルが必要なのである。(図2参照)


図2

 今回は、第1回目として現在の環境で求められるリーダー像である「ファシリテーター型リーダー」とは何か、そしてファシリテーター型リーダーに求められる要件とは何かを解説した。次回からは、具体的なケースも交えて、ファシリテーター型リーダー育成のためにどのような事を考えていけば良いかを解説する。

著者プロフィール

井上 浩二(いのうえ こうじ)

株式会社シンスターCEO。アンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア)を経て、1994年にケーティーコンサルティング設立。アンダーセンコンサルティングでは、米国にてスーパーリージョナルバンクのグローバルプロジェクトに参画後、国内にてサービス/金融/通信/製造等幅広い業種で戦略立案/業務改善プロジェクトに参画。ケーティーコンサルティング設立後は、流通・小売、サービス、製造、通信、官公庁など様々な業界でコンサルティングに従事。コンサルタントとしての戦略立案、BPRなどの実務と平行し、某店頭公開会社の外部監査役、MBAスクール、企業研修での講師も務める。


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