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「下」から「上」へ真実がぶれないしくみをつくれ人を信じても、仕事は信じるな!(2/2 ページ)

報告を受ける1番の目的は現場を知ることです。真実は現場にあるので、現場を知らなければ、何も始まらないからです。ところが、報告システムがなければ、現場を知ることはできません。

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上司が部下に話を聞きに行く

 そもそも、会社はピラミッド型で成り立っています。頂点に社長がいて、その下に部長や課長がいて、さらに下には平の社員、パート、アルバイトがいます。

 指示・命令の報は、この三角形の上から下へ向かって流れていくので、情報も自動的に上がってくると思い違いをしている場合が多いのが現状です。情報は、上司が部下に話を聞きに行いって初めて、まともな報告が得られます。それをせずに、「なんで報告しないんだ!」といくら怒鳴っても無駄です。

 つまり報告のしくみとは、上の人間が下の人たちのところへ行って、情報を収集する形です。それも「嫌でも、情報収集をせざるを得ない」状況がポイントです。

 順を追ってみていきましょう。まず、社長が部長を集めて会議をします。その席では、当然5つの項目について報告を受けます。会議の冒頭から社長があれこれ話し始めるケースがよくありますが、そんな話は無意味です。部下の報告を聞いて、現場(真実)を把握しなければ、いかなる内容も判断しようがありません。

 会議の席で社長がすべきことは、部下の話を聞くことです。実際に報告を聞き始めると、各部長がどれだけ情報収集をしているかが如実に分かります。

 (1)の「数字」は、どんな部長でも話すことができます。エクセルシートなどでデータを確認すればすぐに分かる。しかし、(2)の「お客様の情報」、(3)の「ライバルの情報」、(4)の「取引先の情報」になると、部下から話を聞かないと現状は分かりません。そして、情報が不十分な部長ほど、(5)の「自分の意見」を適当に話し始める。

 もちろん、武蔵野ではそんなことは許されません。部下からの情報収集を怠って、まともな報告ができない部長はすぐに更迭します。それが分かっているので、部長は会議の前に課長のところへ行って、しっかりと報告を受ける。すると、今度は部長と課長のやりとりです。

 会社の規模や組織にもよりますが、課長クラスになると、(4)の「取引先の情報」は把握していることが多い。なので、部長に対して詳細に報告することができます。

 ところが、(2)の「お客様の情報」、(3)の「ライバルの情報」は、直接お客様のところへ出向く社員、お客様からの連絡を受けるパートやアルバイトに話を聞かなければ、詳細なところは分かりません。

 課長は、部長から「お客様の情報を教えてくれ」と言われたとき、「いや、自分にはちょっと分かりません」と言うわけにはいきません。そんな職務怠慢な人には、すぐに減給や降格が待っているからです。

 そこで課長も、日頃から平の社員、パート、アルバイトの人たちのところへ行き、「お客様はどう言っているのか」「ライバル関係で、何か動きはあった? 」と具体的で、詳細な情報収集を欠かさない。

 これが、まともな組織における報告のしくみです。

著者プロフィール:小山 昇

株式会社武蔵野 代表取締役社長。全国の経営者でつくる「経営研究会」主催。1948年山梨県に生まれ、東京経済大学卒業後、日本サービスマーチャンダイザー(現在の株式会社武蔵野)に入社。昭和52年に株式会社ベリーを設立し社長に就任、昭和62年に現職に就任。平成2年、株式会社ダスキンの顧問に就任。平成4年顧問を退任、現在に至る。 株式会社武蔵野は、国内企業で初となる2度の経営品質賞を受賞。(2000年、2010年)その経営ノウハウを活かし、“中小企業の経営品質”にフォーカスした講演活動や書籍出版を行っている。


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