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汚染浄化装置の配管ミスは、仕組み化・マニュアル化の盲点だった『坂の上の雲』から学ぶビジネスの要諦(1/2 ページ)

購入した装置をマニュアル通り操作したが、マニュアルが間違っていたのでうまくいかなかった。だから購入者に責任はない、と専門家が言えるのだろうか。

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バルブの弁より記者会見の弁に驚く

 原発問題の対応に落胆することにも半分慣れてしまったが、米国製汚染浄化システムの配管間違いの記者会見には驚いた。配管ミス自体ではなく、その責任に対する見方についてである。

 テレビで見たかぎりであるが、本来閉じている弁を開けてしまったために、汚染水の一部が本来の配管ルートを経由することなく直接出口に向かったという。

 記者会見で、「なぜ本来開けるべきではない迂回路への弁を開けたか」という質問に「機器の弁にそう表示があったから」という答えがあった。東電としては、指示通りにしたので責任はメーカーにありとでも言いたそうな発言であった。

 弁には大きく2つある。電自弁といって電気式に開け閉めする弁なら、開閉状態は外から判断できないだろうが、画面には管の外側に取っ手の付いた手動の弁が映っていた。手動の弁は、管に対して取っ手を90度で回せば閉まり、平行にすると開くのがごく普通である。

 その機器に開閉の逆の表示があったとしても、疑ってみて当たり前だろう。このような非常時の汚染水浄化装置など大量生産されているはずもなく、自ら製品を確認するという考え方は必要である。流水テストをしたように、配管もダブルチェックすべきという考え方があってもよかった。

 誤解なきよう、最前線でご苦労をされている従業員を責めているつもりはない。激務で高いプレッシャーもあり、瞬間に表示通りしてしまったのかもしれないが、そのことをどうのと言っているのではない。

 問題は、記者会見で「弁の表示が間違っていた」とまるで他人事のように言うことである。東電の調達する製品は、完全であることが当たり前と言わんがごとく、直ぐに他責にするのが問題であり、それに驚愕している。「本来そのような表示ミスは当社も気付くべきであるが、限られた時間での作業だったので、表示を疑わなかった」と自らの責任も認めるべきである。

 100%想像でモノを言っているつもりはないが、たぶん東電へ資材や原料を納入する業者は、それなりの品質や納期が求められ、仕様書やマニュアルも相当しっかりしていないと許されない。電力の安定供給を目指している(目指していた?)のだから、資材購入についても信頼性の高いものを要求するというのが当たり前になっていたのだろう。

 ところが、精度の高いものに慣れきっているので、逆に有事の対応がうまく行かなかったのではないか。そこで、つい業者の責任だと口に出してしまう。

 極めて組織力が高く、平時や安定時の行動には申し分ないのであろうが、有事や事故の際には、逆に応用が利かない。組織を守るコメントも必要なのだろうが、マニュアルが違っているという発言とも聞こえる責任回避は情けない。

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