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“経営者は社員の働き方に大いに不満”傾向と対策生き残れない経営(1/3 ページ)

企業経営者が、社員の働き方に大いなる不満を持っている。一方で、「社会人基礎力」を人材育成に役立てる企業が増えている。しかし、いきなり「社会人基礎力」でいいのだろうか。

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 企業経営者(特に中小企業)が、社員の働き方に大いなる不満を持っている(「日経トップリーダー」'10.12.)。一方で、「社会人基礎力」(2006年に経産省が提唱した「職場や地域社会で多様な人々と仕事をするために必要な基礎的な力」)を人材育成に役立てる企業が増えているとしているが(読売新聞 '11.5.24.)、確かにその能力や能力要素が極めて適切に網羅されている「社会人基礎力」を是非社員の身に付けさせたいと願うのはもっともだ。

 しかし、経営者や社員、新入社員の意識などから考えて、いきなり「社会人基礎力」でいいのだろうか。その前に、人材教育などに対する経営者の姿勢、「やる気」などについての社員の意識、経営者と社員の意識格差、さらには企業文化に関することなど、いわゆる人材育成のファンダメンタルズな部分を固めてかからないと、人材育成基盤のまるで液状化にしてやられる可能性がある。もう少し、分析してみる必要がありそうだ。

 中小企業経営者の約90%が、社員の働きぶりに不満を持っている(2010年10月実施の全国中小企業経営者300人対象のアンケート調査、「日経トップリーダー」2010.12.)。

Q1「社員の働きぶりに不満を持ったことがありますか? 」

  • ある:89.7%
  • ない:10.3%

Q2「社員に対してどんな不満がありますか? 」(Q1の「ある」回答者対象、複数回答)

  • 仕事の段取りが悪い:53.2%
  • 指示されたことしかしない:52.8%、
  • 労働意欲が低い:49.1%
  • 仕事の質が低い:42.8%
  • 新しいアイディアが出ない:40.5%
  • 顧客の立場に立てない:39.8%

Q3「自分で考えて動く社員はどのくらいいますか? 」

  • 50%以下:63.4%
  • 50%超:36.6%

Q4「社員が自分で考えて動けない理由はどこにありますか? 」

  • 教育する仕組みが整っていない:44.3%
  • 社員指導できる幹部社員不足:43.3%
  • 社長の思いが伝わっていない:30.3%
  • いい人材が採用できない:30.0%

 しかし、ここで悲観的にばかり考える必要はない。Q3で「自分で考えて動く社員」が30%以上はいるとする経営者が75%以上もあり、その30%以上の社員を核に社内改革を図る可能性が多分にあると考えればよい。また、Q4で教育の仕組みを嘆き、指導できる幹部の不在をこぼし、いい人材が採用できない不満を言っても、何も解決しない。

 むしろここに省略したその他の回答で、「組織硬直化」16.0%、「会社の方向不明確」13.7%、「社員が動く前に社長が命じる」12.3%、「権限委譲がない」6.0%、「自由発言の雰囲気がない」4.0%などに、社員の働き方を改善できる余地があるのではないかというヒントと楽しみを感ずる。

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