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“経営者は社員の働き方に大いに不満”傾向と対策生き残れない経営(2/3 ページ)

企業経営者が、社員の働き方に大いなる不満を持っている。一方で、「社会人基礎力」を人材育成に役立てる企業が増えている。しかし、いきなり「社会人基礎力」でいいのだろうか。

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■経営者の社員に対して何が不満か

 では、経営者の社員に対する不満と社員の認識と比較すると、どうなっているのか。経営者(幹部)が社員に要求する力と、社員が伸ばしたいと思っている力を比較してみる。

 次表に示すアンケート調査は若手社員対象で、必ずしも全社員を網羅していないが、ある程度の傾向はつかめよう。


成長して欲しい力、したい力(3つまで選択)調査対象:22〜25才男女とその上司 各309人、調査期間:'11.1.15.〜17.(出典:JTBモチベーションズ)

 この表から明らかになる上司と若手社員との意識格差は、

 ・上司が期待している力で若手の認識が低いのは、(1)「困難を克服する力」、(2)「与えられた仕事や目標をやりぬく力」(%差は小さいが、順位差が大きい)

 ・若手が成長したいと考えるが、上司が重要視しないのは、(1)「業務に関する知識や技術」、(2)「仕事のおもしろさを感じる力」

 次に新入社員の意識だが、上司・先輩社員から指摘された「困った新入社員の言動」に対して、新入社員が「自信がない」と思う筆頭は「指示待ちで自分から積極的に行動しない」だ。まさに、冒頭で示した経営者の不満を裏づけている。

 一方で、新入社員に自信があるのは、「挨拶」「約束時間を守る」「返事をする」という、些細なことだ(日本コンサルタントグループ調査、'09.4.1.〜30.の期間調査、新入社員男女882名)。

 ここから、経営者や管理者が社会人基礎力を社員の身につけ付けさせたいと願うのは、当然とも言える。しかし、それは結果を急ぎすぎている。簡易埋立地に建造物を建てるように、あるいは基礎体力のない者が過激な運動に挑戦するように、人材教育のファンダメンタルズが不充分なところへ社会人基礎力教育を施し、尤もらしく評価シートを書き込むなどの策を講じても、定着もしないし、長続きもしないだろう。特に中小企業では無理がある。

 先に分析したように、経営者が社員に不満を持つのはある面で経営者の思い込みがある。逆に社員の働きぶりに対する経営者の認識に、むしろ改革のヒントがある。

 一方で、社員が企業人としての必要な力を誤解している。それは「マナー」や「明るく元気に、仕事をおもしろくやること」ではなく、「自主性」や「仕事の質」や「困難を克服する」などであることを社員に気づか付かせなければならない。

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