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ワークライフバランスは人生にも企業にも、そして社会にも好循環を作り出すITmedia エグゼクティブセミナーリポート(2/3 ページ)

景気低迷で職場崩壊が進む中、先の震災もあり、多くの企業で働き方の多様性、ワークスタイルの変革によって職場の活力を取り戻さなければならないと痛感しているはずである。経営戦略として捉える重要性と、取り組み方をワーク・ライフバランスの小室淑恵社長が語った。

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今後は企業にとってもワーク・ライフバランスが重要

 社員のワーク・ライフバランスの改善は、企業にもプラスに働く。

 今の日本企業は「2007年問題」の渦中にある。団塊世代の定年退職が進んでいる一方、労働力人口の増加は期待しづらく、できるだけコストをかけず優れた人材を獲得し、定着させ、モチベーションを維持させることが求められている。

 「まさに2007年頃から企業の変化がみられる。ワーク・ライフバランスは単なる福利厚生でなく、経営戦略の一環として捉えられるようになってきた」(小室氏)

 近年では男女ほぼ同数を採用する企業も増えてきたが、女性の勤続年数は相変わらず長くないのが実態だ。少子化で採用難になり、多額の費用を費やして採用した人材が、早く退職してしまう。これは大きな損失といえる。

 「ある企業の例では、出産や結婚で退職した女性の年齢は平均29.6歳、平均勤続年数は8.24年。採用や教育研修のコストは1人あたり1000万円あまり。50名が退職しており、5億円もの損失となる計算」(小室氏)

 さらに今後は、団塊ジュニア世代が介護に時間を取られるようになっていくことが予想される。引退した団塊世代は、今後どんどん高齢化が進み、要介護状態になったとき、日本人の平均寿命は世界トップクラス、介護は長期化しがちである。

 しかし今の時代、自分の親の介護を妻に頼ることができるだろうか

 専業主婦でも大変なもの、共働きであれば各自の親の介護で手一杯になってしまうだろう。そもそも団塊ジュニア世代は、兄弟が少なく、独身者の割合も多い。つまり、団塊ジュニア世代は相当な割合で親の介護を迫られるというわけだ。

 また、自分自身がガンなど長期加療を必要とする病気になった場合も同様だ。介護も医療も金銭的負担は大きい。保険や貯蓄で支えられる期間には限度がある。働き続けられることが当人にとって大きな支えになるが、今の日本企業の制度やマネジメントでは、フルタイムで働くことができない社員は仕事を続けていくことが難しい。

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