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事業の多角化で企業を成長させる方法海外ベストセラーに学ぶ、もう1つのビジネス視点(2/3 ページ)

企業が倒産すると、単一的経営よりも多角的経営が非難を浴びやすい。複数の事業を行うことは、1つの事業に専念するより危険が大きいと考えられているが、適切に経営すれば素晴らしい収益を得ることができる。成功を収めている多角経営企業が取り入れている7つのステップとは。

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エグゼクティブブックサマリー

多角化は正しい:4つのケーススタディー

 他の企業よりも「多角経営」に明らかに優れた企業が存在します。それは、ゼネラルエレクトリック、ITC、ウェスファーマーズ、そしてビッドベストの4社です。この4社は事業範囲が広く、特に模倣する価値のある企業です。

 多角化に規律のあるアプローチを取っており、よく分からない事業に熟考することなく手を伸ばすことはしません。調査によると、この4つの多角的多国籍企業は、少なくとも2006年までの10年間、連続して14%以上の年間株主資本利益率(ROE)を一貫して得ていることが分かりました。企業の経済力を測定する上で最も良い測定基準ROE、あるいは株主資本で割った年間純利益です。なぜなら、株価の不安定な値動きの影響を受けないからです。

 1988年に創設されたビッドベストは4社の中で最も若い会社です。一連の買収によって成長と多角化の道を切り開きました。2006年までにビッドベストは、輸送手配、業務用清掃サービス、警備、金融サービス、自動車販売、食品卸など複数の事業を抱えるようになりました。また、地理的にも多角化し、オーストラリア、ヨーロッパ、ニュージーランドにも進出しました。

 1910年に合併したインペリアル・タバコ・カンパニー・オブ・インディア・リミテッドは、喫煙者に煙草を提供するだけでは満足しませんでした。ITCと呼ばれるようになった同社は、ホテル経営、小売業、IT販売、紙製品製造、農業生産、加工食品流通など広範囲に渡って事業展開しています。

 1892年、トーマス・エジソンが作ったゼネラルエレクトリック・カンパニーとトムソン-ヒューストン・エレクトリック・カンパニーが合併し、複合企業としてゼネラルエレクトリック(GE)が誕生しました。GEはその後、アメリカの企業アイコンとなります。世界中に広がる多国籍コングロマリットであるGEは、ジェットエンジン、鉄道用機器、画像診断システムから、冷蔵庫、冷凍庫、洗濯機、ドライヤーまでさまざまな製品を販売しています。その他にも、自動車ローンや自社ブランドのクレジットカードなどの金融サービスも扱っており、NBCユニバーサルの株を保有していることからテレビ番組も放送しています。

 1914年、農業経営者のグループによってウェスファーマーズは創設されました。同社は西オーストラリア州の農村地区に住む住民に対し商品やサービスを提供する共同事業です。2006年までに、株価に基づいたランキングで、オーストラリアに本社を置く企業の中で最も大きい企業20社の内の1つに選ばれるようになりました。また、広範囲にわたる事業を展開しており、スーパーマーケットから石炭鉱業、化学薬品や肥料、保険商品や工業用安全製品の販売など5つの部門を有しています。

 ここでは、多角経営によって大成功した4つの企業についての事例を紹介しています。しかも、どの企業も単一経営ではなし得ないような大きな実績を出しています。これは単純に利益だけというよりも先に話をした各事業間で、何らかのプラスの相互作用をもたらした結果がこうした事を導き出しているのではないでしょうか?

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