事業の多角化で企業を成長させる方法:海外ベストセラーに学ぶ、もう1つのビジネス視点(3/3 ページ)
企業が倒産すると、単一的経営よりも多角的経営が非難を浴びやすい。複数の事業を行うことは、1つの事業に専念するより危険が大きいと考えられているが、適切に経営すれば素晴らしい収益を得ることができる。成功を収めている多角経営企業が取り入れている7つのステップとは。
多角化を成功させるための7つのステップ
上記の企業の成功は、事業の多角化が持つ潜在能力を証明しています。4つの企業はどれも似たような手段でビジネス・ポートフォリオを作り、事業を多角化する中で共通して発生する問題を管理するための7つの重要なステップを守りました。実際、もし4社の内1社でも将来財務業績が悪化することがあれば、おそらくその7つのステップの中のどれかにきちんと従えなかったことが原因だと思われます。
問題を管理する7ステップ
・Step 1:支援を与える中央本部を設置する
各事業に対し詳細な経営指示を出すことなく、事業の価値を高められる本部スタッフを配置して下さい。本部は主に、法規制の順守、企業統治、経理、営業報告などの基本的なサポートを提供します。これらの機能に加え、本部の一部で経営計画、人事、投資家向け広報活動も取り扱います。
・Step 2:能力のあるディビジョンマネジャーを選ぶ
ビッドベストは、まるでその事業のオーナーであるかのような仕事をしてくれる人間をディビジョンマネジャーとして採用するというポリシーを持っています。また、ウェスファーマーズのマイケル・チェイニー元CEOは、技術的能力だけでなく「感情的知性」を持っている人間をディビジョンマネジャーとして雇用しました。さらに、GEのジャック・ウェルチ元CEOは、ディビジョンマネジャーを雇う時、品位、知性、そして成熟を求めました。そして実際より能力があると見せかける人間を雇わないよう釘を刺していました。
・Step 3適切な業績測定基準を取り入れる
多角経営企業は一般的に、ROEやそれと同等の財務実績基準を使用し、各事業の業績を測定しています。例えば、GEはROEと「総資本利益率」の両方、あるいは「税引き前利益と利子を株主資本で割り、それに長期借入金を足した数値」を使って各事業の経営を評価しています。また、使用総資本利益率は、ウェスファーマーズが使用している業績測定基準の1つです。ビッドベストは使用資金利益率という、似たような計算方法を使用しています。
・Step 4:効果的なインセンティブを設ける
上級管理者やディビジョンマネジャーへの報酬には、彼らの年収を上回る可能性のある賞与支払いを含めて下さい。企業がマネジャーに対し支払う報酬は、マネジャーに短期的および長期的企業判断のバランスを取らせるよう促すものでなければなりません。例えば、株式として長期的にインセンティブを支払うことで持続的な事業の多角化を促進し、軽率なコングロマリットを無くすことが出来ます。
・Step 5:企業文化を整合させる
多角経営企業の企業および事業レベルの文化は、事業拡大、事業自治、企業の品位、投資収益率などの点において共通の優先順位に従うものでなければなりません。多角経営企業のリーダーは事業ごとの文化の違いを尊重すると同時に、各事業と本部の文化がうまくかみ合っていることを確認しなければなりません。
・Step 6:競争力を維持する
成功している多角経営企業は、株主やその他の関係者に対するサービスを基に戦略を立てることで競争を抑えています。例えば、GEとウェスファーマーズの両社は、株主だけでなく従業員や顧客などの利害関係者を満足させることに戦略的焦点を当てています。企業レベルでの運用戦略(例えば、生産能力利用、製品のブランド化などの内部ビジネス機能)は、効果が低く、企業の競争力を向上させることに繋がりにくいからです。
・Step 7:賢く買収し、統合する
ビッドベスト、GE、ITCそしてウェスファーマーズは、いずれも企業買収における「優れた買い手」です。彼らはリスクを計算し、過払いを避け、買収を完了させる前に統合に付随する問題に対処します。この4社はリスクを避けるためではなく、ビジネスのチャンスを手にするために多角化しています。ウェスファーマーズのチェイニーは、企業は「何かで世界1の会社になる」などといった狭い経営目標は持つべきではないと考えています。
多角経営を成功させるための具体的な7つのステップについて書かれていますが、これを見る限りでは各部門がそれぞれ独立した専門性を持った単一事業主でありそれをうまくまとめていることが多角経営企業という位置付けである事が分かります。
著者紹介
グラハム・ケニーは、戦略的計画立案、業績測定を専門とするオーストラリアの企業、Strategic Factors社のマネージング・ディレクターです
プロフィール:鬼塚俊宏ストラテジィエレメント社長
経営コンサルタント(ビジネスモデルコンサルタント・セールスコピーライター)。経営コンサルタントとして、上場企業から個人プロフェッショナルまで、420社以上(1400案件以上)の企業経営を支援。特に集客モデルの構築とビジネスモデルプロデュースを得意とする。またセールスコピーライターという肩書も持ち、そのライティングスキルを生かしたマーケティング施策は、多くの企業を「高収益企業」へと変貌させてきた。
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