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今そこにある危機藤田正美の「まるごとオブザーバー」(1/2 ページ)

民主党政権は東海地震を懸念して浜岡原発を停めたけれども、日本を覆うリスクは地震だけではない。外にはTPP(環太平洋パートナーシップ協定)参加問題に表れているような国際競争力の維持、そして中国海軍の外洋進出と南シナ海の安全という問題がある。

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 民主党政権は東海地震を懸念して浜岡原発を停めたけれども、日本を覆うリスクは地震だけではない。外にはTPP(環太平洋パートナーシップ協定)参加問題に表れているような国際競争力の維持、そして中国海軍の外洋進出と南シナ海の安全という問題がある。内には、何と言ってもデフレからの脱却と財政の健全化という問題を抱えている。

 もちろん喫緊の課題は、間違いなく岩手、宮城、福島といった被災地の復旧・復興である。しかし、じわじわと刻限が迫っているのは、財政という「時限爆弾」である。問題なのは、いつ爆発するかがわからないために「とりあえず今ではない」と多くの人が思い込んでいることだ。

 すでにヨーロッパは財政危機という爆弾があちこちで破裂している。英エコノミスト誌は、最新号(7月16日号)でヨーロッパの財政危機を大きく取り上げた。ギリシャから始まった危機はアイルランド、ポルトガルと飛び火し、再びギリシャが問題になっている。ギリシャをどう救済するのか、7月21日に開かれるEU17カ国による緊急首脳会議で討議されることになった。ギリシャ救済にあまり積極的ではなかったドイツが、緊急首脳会議に応じたのは、財政危機がイタリアに波及していることが大きいようだ。

 イタリアが発行する国債が売り込まれて、資金調達が難しくなったら、ギリシャの比ではない。国債発行残高は1兆9000億ユーロ、日本円換算で約210兆円ほどだ。それでもGDP(国内総生産)の120%と日本よりもはるかに低いのだが、ギリシャ、アイルランド、ポルトガルの国債発行残高の合計額の3倍に達するという。もしイタリアが行き詰まれば、EUで用意したいざという時のための資金では到底救済できない。

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