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九電の「やらせメール」が教えてくれたこと『坂の上の雲』から学ぶビジネスの要諦(2/3 ページ)

「わが社の常識は世間の非常識」ということがよくある。変わらぬ企業体質は、会社を潰すことにもつながりかねない。

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幹部は直言の士たれ

 不祥事の起こりやすい、変わらない体質を引っ張る会社の多くには、幹部の問題がある。人はだれしも自分の身がかわいいが、立場や地位に固執して上にモノ言えない幹部は、会社のためにならない。そして、時に結果社会がびっくりするようなことを引き起してしまう。

 幹部はトップに(部下は上司に)「直言の士」でなければいけない。儒教では自分が仕えるトップや親に対して絶対の忠誠を求めるが、同時にそれらの過ちには心から諫言しなければいけないことも説いている。

 あるとき、政府系組織の若手に社内提言をしてみたらどうかとアドバイスしたところ、「1つ提案したら、100個のやらない理由が即刻返ってくる。上げても途中で握りつぶされてしまう」との答えであった。残念至極である。

不祥事の温床から脱するには

 コミュニケーションが大事である。部下は自分の意見を持ち、上司に自由にモノいえる風土を醸成すること。そのためには、日頃から社内で何でも言える雰囲気が必要である。

 まずいことは報告せず、耳障りのよいことだけが上がっていく体質がよくない。それは、決して組織の改善や向上にはつながらない。むしろ、悪い報告が即刻トップまで上がるコミュニケーションが求められる。今回は内部告発とのことだが、内部で言える状況になかったことの現われである。

 反対に、トップや上司は、「部下の言うことは針一本落ちる音まで聞け」ということである。

 日頃、会社で新規ビジネスができたときなどは成約報告書がさっと上がってくる。確かに、担当者にとっても上司にとっても嬉しいことであり、その報告書の重要性も否定はしない。ただ、成約すれば、契約書や請求書も発行することになり、いずれ社内の必要な人間の知ることになり、その報告書の役目は終了する。

 それより大切なのは、成約につながらなかったときの報告である。自社の商品やサービスの問題か、価格か、納期か、相手の担当者の問題か、「不成約報告書」を書いておくことだ。仮に相手の担当が聞く耳を持ってくれないのなら、担当が変われば、また営業すればよい。

 ある瞬間の失敗を糧にして、将来の成果を作ればよい。そのために、失敗を共有して、忘れないように社内に残しておくことである。

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