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人生を変える体験、被災地ボランティアに行こう!会社人よ、社会人になろう!(2/3 ページ)

東日本大震災復興支援におけるボランティアは、どのような意味を持つのか? 震災を機に日本は大きく変わっていく。その変化に当事者として関わるのか、傍観者でいるのかは大きな違いだ。「会社人」の前に「社会人」であるための意識と行動を考えてみる。

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地域社会にとってボランティアがもたらす意味とは

 地域社会にとっての意味は主に3つの側面があります。

 1つはとてつもない膨大な作業が軽減できることです。例えば側溝の清掃は石巻では町内会の役割だそうです。しかし30cm以上も泥が溜まった側溝にはとても手がつけられません。ボランティア30人がかりで1日30m進めるのがやっとでした。これを毎日無報酬で一体誰ができるでしょうか。

 2つ目は応援と活力です。家族や親族、友人を亡くした被災者の方に、別の応援者が現れる意味は大きく、たった1日でも心細さ、孤独感、無力感が薄れ、生きる活力になります。お金も大切ですが、そこに人が居ること自体に意味があります。逆にボランティアが急にいなくなったとき、張り詰めていた糸が切れてしまうことがあります。継続的に多くの人が関わり続ける必要があります。

 3つ目は新しい多様な繋がりです。全国各地、世界各地からボランティアが来ています。筆者が参加した時には、関東以外に静岡、愛知、大阪、兵庫、九州、ドイツ、フランス、イギリスまで、年齢も職業も違う多種多彩な人々が集まっていました。ボランティア同士の繋がりも生まれて、ちょっとした世界の縮図がそこにあります。5年、10年後に訪れる人も多いことでしょう。

社員ボランティアがもたらす3つの効果

 企業の視点からは、社員ボランティアに3つの効果を期待できます。ボランティアを推奨する懐の大きさは、自律性を高め、モチベーションを向上させます。

 まずは、「自ら考え、自ら行動する」自律人材の育成に繋がります。そもそもボランティアは自主的なものであり、自らの課題意識に基づいて行動に移します。新しい繋がりと価値観を手に入れて人間としての幅も広がることでしょう。感謝される喜びの体験は自己肯定感を高め、これが仕事に生きてきます。同じ側溝の泥だしでも自主的に取り組んで楽しむのと、与えられて嫌々お金のためにやるのでは全く違ってきます。

 2つ目に現場主義の実践に役立ちます。会議室ではなく現場に行く大切さは繰り返し言われることですが、ボランティア体験は現場を知る大切さを認識させてくれます。そこには必ず発見があり、気づきがあります。会話があり、楽しさがあり、感謝があります。

 そして最後に潜在的社会ニーズの発掘です。ボランティアは人の助けになりたいという素直な気持ちから接するので、売り買いの関係ではなく同じ目線で信頼関係ができます。人の役に立って対価を得るのが商売の基本ですから、社会の困りごとを見つけ、それに対して採算が取れる商品・サービスを開発して提供できれば最高です。これが「社会起業家」のマインドです。

 東日本大震災復興支援におけるボランティアを中心に、個人、地域社会、企業にとって持つ意味をみてきました。

 文章で伝えられることはほんの一部です。被災地に行って理屈抜きに全身で「体感」してください。何百倍もの気付きが得られます。そして体験した方は是非多くの人を誘ってください。被災地ボランティアに行こう!

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