検索
ニュース

貢献力の経営――企業経営の“新たなモノサシ”としての貢献力――NTTデータ 山下徹社長(1/2 ページ)

2011年9月16日、早稲田大学 井深大記念ホールで開催された「ELForum & ITmedia エグゼクティブ共催 エグゼクティブ フォーラム 働き方と企業経営の"新たなモノサシ"」の基調講演に、NTTデータの代表取締役社長、山下徹氏が登壇。「貢献力の経営」をテーマとした講演で、働き方と企業経営の「新たなモノサシ」としての貢献力を提言した。

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

変革の時を迎えたNTTデータ

 1988年、NTTからスピンアウトしたNTTデータは、NTTグループにおいてITサービスの提供を担当している。会社の設立から23年間、売上は増収を続けている。ただし、常に平坦な道を歩んできたわけではなく、成長と停滞を繰り返しながら今に至っている。特に経済環境の厳しい現在では、(1)公共依存からの脱却、(2)国内依存からの脱却、(3)SI依存からの脱却という、3つの経営課題に取り組んでいる。

 (1)公共依存からの脱却


NTTデータの山下徹社長

 2001年度のNTTデータのビジネスは、公共が50%、金融が30%、法人が20%の割合だった。しかし2009年度は、公共が20%、金融が40%、法人が30%の割合になっている。この数字を見ても、公共依存からの脱却は、かなり推進されている。

 (2)国内依存からの脱却

 グローバル化が進んでいる現在のビジネス環境では、いかに海外ビジネスを拡大していくかは大きな成長の鍵になる。NTTデータでは、2004年度の海外売上は55億円(売上の0.6%)に過ぎなかったが、2012年度には3000億円(売上の20%)の売上を見込んでいる。

 現在、35カ国、150都市で、約2万4000人の社員(国内は3万人)が、海外ビジネスを展開しており、グローバル企業トップ5を目標に事業を拡大している。2010年には、ITサービス分野で8位のポジションを占めている。

 (3)SI依存からの脱却

 SI事業では、サービス、SI、ソフトウェアの「3本の矢」の戦略を推進している。この戦略では、2007年度にサービスが20%、SIが75%、ソフトウェアが5%だった比率を、2012年度にサービスが40%、SIが50%、ソフトウェアが10%にする計画という。

 山下氏は、「この10年間、NTTデータという会社は、外部からの見た目は変わっていないように見えるかもしれない。しかし、社内的には大きく変化している。この会社の変化と貢献力の経営には、大きな相関関係がある」と話している。

貢献力の経営――3つの視点

 本題である「貢献力の経営」について山下氏は、(1)社会に果たすべき企業の役割、(2)セクショナリズムの打破、(3)貢献心は人間の本能という、3つの視点で紹介した。

 (1)社会に果たすべき企業の役割

 一般的に企業は、売上からコストを差し引いた利益の一部を社会貢献に役立ててきた。しかし現在では、企業は何のために存在しているのか、事業目的は何なのかといったことが、売上そのものよりも重要な時代となっている。

 1967年に、電信、電話に続く、第3の通信である"データ通信"を普及させることを目的に日本電信電話公社データ通信本部として設置されたのが、現在のNTTデータの前身だが、山下氏は次のように語る。

 「NTT時代には、一度も黒字にならなかった部門でしたが、不思議なもので独立してからは23年間、一度も赤字になっていない。民間企業として利益を優先するのではなく、社会に貢献したご褒美として利益があるということに気がついた」

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

       | 次のページへ
ページトップに戻る