藤田正美の「まるごとオブザーバー」
小沢一郎裁判の奇妙さ(1/2 ページ)
小沢一郎民主党元代表を強制起訴した裁判が始まった。この裁判の冒頭、小沢被告は、国家権力が小沢一郎個人を標的にした不当なものであると発言して、裁判官の「見識のある」判断を求めた。小沢元代表の言い分には納得できない部分も多いが、この裁判そのものはやはり間違っていると思う。
いちばん引っ掛かるのは強制起訴を決めたときに発表された第5検察審査会の議決要旨のこの部分だ。「検察審査会の制度は、有罪の可能性があるのに、検察官だけの判断で有罪になる高度の見込みがないと思って起訴しないのは不当であり、国民は裁判所によって本当に無罪なのかそれとも有罪なのかを判断してもらう権利があるという考えに基づくものである。そして、嫌疑不十分として検察官が起訴に躊躇(ちゅうちょ)した場合に、いわば国民の責任において、公正な刑事裁判の法廷で黒白をつけようとする制度であると考えられる」
検察とは国家を代表して個人などを起訴するものだから、国家権力の行使そのものだということは踏まえておかなければならない。近代国家においては、この国家権力の行使にどう歯止めをかけるかということが、一つの大きなテーマであった。それは個人あるいは市民の権利が民主的な社会にとって重要だからである。
2001年の同時多発テロ以降、アメリカでは国家権力による個人の権利の侵害が比較的簡単にできるような雰囲気になった。電話の盗聴もそうだし、米軍がグアンタナモ基地に法的根拠なしに拘留し尋問している「テロ容疑者」もそうである。ちなみにこのテロ容疑者は「戦争捕虜」でも「犯罪容疑者」でもない。どちらの場合でも、法的に保護されなければならないが、米軍はそれを拒否して、彼らの立場をわざとあいまいにしている。こうしたアメリカの行動が米政府の正当性を著しく弱めているのは事実だ。だからこそオバマ大統領はグアンタナモ基地の収容施設を閉鎖すると明言した(いまだに実現していないが)。
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