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「絶望」を乗り越え、ゼロから世界に誇れる町を創る――陸前高田市・戸羽市長2012年 それぞれの「スタート」(3/3 ページ)

岩手県陸前高田市――東日本大震災と津波による甚大な被害を受けた同地も新年を迎えた。あの日から10カ月が経過したが、市街地にはいまだに大量のガレキが残り、市民の雇用や医療など課題も多い。同市の戸羽太市長に、陸前高田の“今”と復興に向けた思いを聞いた。

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――著書「被災地の本当の話をしよう」(ワニブックス)の中で、震災で亡くなったご夫人に誇れるような町にしたいと語っています。

戸羽市長 結局わたし自身もそうですし、市の職員もそうなのですが、同じような状況の中でちょっとした何かの違いが人々の生死を分けました。亡くなった人々もそのとき遊んでいたわけではなくて、年老いたご家族や逃げ遅れた人々を助けようとして亡くなってしまったのだと思います。こうした中で、われわれ生き残った人間に何ができるかと言えば、やはり町を復興させることしかないわけです。

 復興は今後8年間かけて行うことを予定していますが、国がその間ずっと順調に予算を出し続けてくれるという保証はどこにもありません。こうした意味で、昨年12月に第3次補正予算が成立したという状況を生かし、今年はできることを次々とやっていくべきだと考えています。

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――2012年は具体的にどのような取り組みを行いますか。

戸羽市長 まずは県と相談しながら、できるだけ早期に災害公営住宅を作ります。そうすると市民に元気が出ますし、「次はいつ何ができるのか」という希望的な気持ちになれると思います。

 同様に、防潮堤の建設にも着手していきますが、技術的な部分もあってすぐに作るのは難しいところはあります。ただ、防潮堤ができるまで何もできないという話になると復興がどんどん遅れてしまうので、今できることをとにかく先にやっていかないとだめだと思っています。町を設計図通りに組み立てていたら間に合わない部分もありますからね。

 「スタートダッシュ」というと語弊があるかもしれませんが、復興に関しては計画を前倒しするくらいの気持ちでやっていかなくてはならないという思いがあります。あまり焦るのもよくないですが、今年1年間でしっかり頑張って進んだペースが、今後の復興の1つの目安になっていくと思います。ですので、2012年は陸前高田市にとって1つの勝負の時期になると思っています。

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高台に設けられた同市の仮庁舎には、復興に向けたメッセージが掲げられている

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