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サービス品質を武器にタイから海外展開を加速 日本駐車場開発2012年 それぞれの「スタート」(1/2 ページ)

日本駐車場開発は2011年、タイに現地法人を設立し海外展開に向けた礎を築いた。ホテル並みのサービスレベルの実現に取り組みつつ、2012年は海外展開を加速させる。

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海外進出の第一歩に選んだ“ほほ笑みの国”

 都心部のビルに付随する駐車場をオーナーから借り受け、施設と運営手法の双方の改善を通じて、より良い駐車場の提供に取り組む日本駐車場開発。長引く不況によるオフィスビルの空室率上昇を背景に、同社のサービスに着目するオーナーは増加しつつある。事実、2012年7月期(通期)の連結業績は、売上高96億700万円(21期連続増収)、営業利益は15億100万円(6期連続増益)、純利益は8億5000万円(4期連続増益)を達成するほどだ。

日本駐車場開発 取締役副社長の川村憲司氏
日本駐車場開発 取締役副社長の川村憲司氏

 そんな同社は2011年1月、海外進出の第一弾としてタイに現地法人を設立。2012年からはグローバル化をさらに加速させていく算段である。

 同社が最初の進出国としてタイに白羽の矢を立てた理由、それは、潜在的な市場の大きさと、質の高い労働力の確保が見込めたことを高く評価したからである。実際、首都・バンコクの人口はすでに600万〜800万人に達しており、経済発展を追い風に年間40万台のペースでマイカーが増えている。

 日本駐車場開発で取締役副社長を務め、タイでの事業を統括する川村憲司氏は、「タイは鉄道網がそれほど発達しておらず、自動車が通勤の足として利用されているため、駐車場に対するニーズが今後急速に高まるだろう。しかも、“ほほ笑みの国”と呼ばれるほど国民の気質がおおらかで、サービス業に向いていると考えられたことから、海外での成功例を作る上でタイが最も有望だと判断したのだ」と打ち明ける。

経済発展によって生じた“ギャップ”に着目

 日本ではオフィスビルを建設する際に、200平方メートルあたり1台分の駐車場を敷設する義務がオーナーに課せられる。これはタイでも同様だ。しかも、その内容は60平方メートルあたり1台と「日本の3倍以上も厳しい」(川村氏)。そのため、タイでは地下から地上5〜10階までを駐車場が占め、その上層階をオフィスやホテルとして利用するビルも珍しくないという。つまり、駐車場そのものはすでに豊富に存在していたのだ。

 もっとも、ビルオーナーと利用者の双方とも、従来からの駐車場には決して満足していなかったのだという。例えば、ビルの駐車場のほとんどは、オフィスに勤務する従業員向けに月極めの利用契約が結ばれている。ただし、従業員が帰宅する夕方以降、多くの駐車場で朝まで空きが目立っていた。ビルオーナーにとってはその稼働率を高めることで、収益を向上する余地が残されていたのだった。

 また、これまで自動車はお抱えの運転手を雇える富裕層のものとされ、駐車場の主な利用者は自動車オーナーではなく運転手であった。ただし、経済発展により自動車の所有する裾野が広がり、所有者が駐車場を利用することが増えたため、「臭い」「汚い」「暗い」といった施設面の問題も顕在化しつつあった。

 日本駐車場開発はタイへの進出にあたり、こうしたビルオーナーと利用者が駐車場に寄せる期待と現実とのギャップに着目。日本でのノウハウを基にした打開策を携え、その採用を地道に訴えて回ったのだという。

「われわれはタイにおける新規参入組。そのため実績がなく、アイデアがいくら良くても、本当に実行できるかをビルオーナーは危惧した。そこで『まずは一度試してみて、駄目なら止めればいい。その場合でもオーナー側に損失が発生することはいっさいない』と約束した。もちろん、それも提案内容を実行できる十分な自信があったからこそだ」(川村氏)

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