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聴いて価値観を認める――Listen, Listen, Listenグローバル時代のスマートリーダー術――100人の経営層から(1/2 ページ)

さまざまなバックグラウンドの人と渡り合う時いかに効果的に話し、説得させられるかと考えがちだが、相手が考えていることを知らずして説得はできない。信頼関係は相手の話を聴くことから始まる。

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 「グローバル時代を生き抜くスマートリーダー術」というテーマで話していますが、今回はスマートリーダーに求められる、話を聴く、質問する力について解説します。

 前回も話しましたが、スマートリーダーとは「つながり、コラボレーションで能力を高め、コミットメントを引き出し、インスピレーションを与えられるリーダー」です。100人以上の経営層をインタビューし、自身も組織内で実践しながらスマートリーダーに求められるコミュニケーションについて探ってきました。前回話した通り、このシリーズでは次の5つに焦点を当てます。

1、話を聴く、質問する

2、ソフトとハード

3、アサーティブ――不快感を持たれずに自分の意見を通す

4、対話を継続する

5、まわりを味方につける――共に創り、共に学ぶ

「聞く」と「聴く」

 グローバル時代。いろいろなバックグランドを持った人たちと渡り合わなければいけないので、まずは自分をどのようにプレゼンテーションするか、自分が何を主張するか、いかに効果的に話して相手を説得させるかという方法を身に付けなければいけないと考えがちです。

 もちろんどのようにプレゼンテーションするかということもとても重要です。しかし、バックグラウンドの異なる人たちと渡り合うからこそ、彼らの話に注意深く耳を傾けることが求められるのです。「きく」ことは大切とよく言われますが、グローバルな時代にいろいろな価値観を持った人たちと協力して何かを成し遂げるためには、それがより一層重要になるのです。

 コミュニケーション力はどうやったら磨けるか、という質問をよく受けます。こうしたら必ず伸びるという伝家の宝刀のようなものはありません。人の話に耳を傾け、何を言おうとしているかをしっかりと読み取ったうえで、適切な対応を考えていくことが大切です。

 「いや、自分は相手の話をきいている」と言い切れるでしょうか? 自分に以下の質問をしてみてください。

 ・話しかけられたとき、目を上げての人の顔を見ていますか?

 ・電話をしながら、メールを書いたりしていませんか?

 ・部下が「こんなことができました」と言ってきたときに、「そう」とそっけなく答えていないでしょうか? 何か自分の意見を言いましたか?

 ・相手が話しかけてきたときに「今は忙しいから後にしてくれ」と言って、そのままになっていないでしょうか?

 「きく」には次の2つがあります。

 「聞く」は英語のHearで、意識して聞くよりは、聞こえる、耳に入ってくる状態。「聴く」は英語のListenで、意識して耳を傾けること。たいていの人が言う「きく」とはこの「聞く(Hear)」の状態です。スマートリーダーに求められる「きく」は「聴く(Listen)、つまり意識して耳を傾ける「聴く」を実践することが大切なのです。

 ある企業で長年務め、コーチングを学んだ経営幹部の方が以下のようなことを言っていました。

 わたしは、信頼関係づくりは、相手の話を否定しないで聴くことから始まり、相手の望んでいることをまずは良く聴いて、その上でそれに応えること。つまり、相手の考え方、価値観などを尊重し、受け入れ相手を大切にする姿勢が重要でこの姿勢があって、「自分の考えを聴いてくれたので嬉しい、こんどはあなたの話を聴きましょう」ということになり、初めて相手から信頼関係が得られると思います。

 最近の風潮は、ややもすると自分の主張を相手の関心の有無にかかわらず、これでもかと繰り返し主張し続ける傾向があり閉口します。特に責任者の立場になると、目標達成を急ぐあまり、相手の話を聴かないで、または途中で遮り、自分の経験や問題解決の方法や判断を押し付けたり、自分の関心のあることを質問する傾向がある点に気を付けたいものです。

 コーチングの精神が相手を尊重する、つまり、相手のやる気、能力を引き出すコミュニケーション技術と言われ、相手の主張をよく聴くことを強調しているのも、この精神だと思います。


 ここにもあるように、グローバル時代に求められるのは、相手の価値観を認めて受け入れること。相手の価値観を知るためには、相手の話に耳を傾け、相手を理解しようとすることで、信頼関係が生まれ、自分の話も聴いてくれるようになります。説得力のある話ができるようになるのです。小手先の話術で、相手が信用してくれるわけではありません。

 Listen, Listen, Listenです。

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