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聴いて価値観を認める――Listen, Listen, Listenグローバル時代のスマートリーダー術――100人の経営層から(2/2 ページ)

さまざまなバックグラウンドの人と渡り合う時いかに効果的に話し、説得させられるかと考えがちだが、相手が考えていることを知らずして説得はできない。信頼関係は相手の話を聴くことから始まる。

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「聴く」の発展形は「訊(き)く」――質問する

 先ほど「きく」には「聞く」と「聴く」の2つがあると言いましたが、もう1つ「訊く」という言葉があります。これは「尋ねる」に近く、英語ではActive Listeningと言われます。

 部下の話を聞くと言っても、部下から何もないのに話をするのがむずかしいこともあるでしょう。その場合に、リーダー自ら質問をしてあげることです。

 「最近調子はどうだい?」

 「この問題についてはわたしはこう思うけれど、君はどう思う?」

 「これまでのリーダーは話し方を心得ていた――これからのリーダーが心得るべきは尋ね方である」といわれています。振り返ると、われわれは職場であまり質問をしていないのではないでしょうか。価値観の異なる相手だからこそ、どう思うのか、何を考えているのか、積極的に質問することが求められています。

Managing By Walking Around

 Managing By Walking Around(MBWA:歩きまわるマネジメント)、という言葉があります。1980年代にビジネスコンサルタントで、リーダーシップのエキスパートであるTom Peters氏がヒューレット・パッカード社のリーダーたちから学び、広めた考え方です。略して、MBWAといいます。

 マネジャーはMBWAを実践することで、社員をよく知ることができ、自分の経験を話したり、心配事を聞いたり、励ましたりできるという考え方です。アメリカの企業でMBWAを実践して成功を収めている経営者がいる一方で、その重要性を知りながらも、MBWAを実践している人はごく少数というデータがあります。

 あなたはMBWAを行っているでしょうか?

 今回は「話を聴く、質問する」ということに焦点を当てました。次回は、「ソフトとハード」について解説します。

著者プロフィール

林正愛(りんじょんえ)

BCS認定プロフェッショナルビジネスコーチ、ファイナンシャルプランナー、英検1級、TOEIC955点。津田塾大学学芸学部国際関係学科卒業。British Airwaysに入社し、客室乗務員として成田―ロンドン間を乗務。その後中央経済社にて経営、会計関連の書籍の編集に携わった後、日本経済新聞社に入社し、経営、経済関連の書籍の企画および編集を行う。2006年4月に退職し、「眠っている才能を呼び覚ませ」というミッションのもと、優秀な人たちが活躍する場を提供したいという思いから、同年10月にアマプロ株式会社を設立。仕事を通じて培ってきたコミュニケーション力や編集力を生かして、企業の情報発信をサポートするために奔走している。

企業の経営層とのインタビューを数多くこなし、その数は100名以上に達する。その中からリーダーの行動変革に興味を持ち、アメリカでエグセクティブコーチングの第一人者で、GEやフォードなどの社長のコーチングを行ったマーシャル・ゴールドスミス氏にコーチングを学ぶ。現在は経営層のコーチングも行う。コミュニケーションのプロフェッショナルが集まった国際団体、IABC(International Association of Business Communicators) のジャパンチャプターの理事も務める。2012年4月からは慶応義塾大学メディアデザイン研究科でも学ぶ予定。著書『紅茶にあう美味しいイギリスのお菓子』(2000年、アスペクト)。2児の母。


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