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リーダーが「忘れてはいけないこと」「縛られてはいけないこと」ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(1/2 ページ)

リーダーシップは「他者をどう動かすか」を論じることが多いが、他者に動いてもらうためには、リーダーが己のあり方を自ら質し、問い続ける力が必要なのではないだろうか。

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修己治人

 リーダーシップを巡る議論は、往々にして周囲に働きかける力に焦点をあて「他者をどう動かすか」を論じることが多くなります。しかし他者に動いてもらうための原動力は、そもそもリーダーが己のあり方を自ら質し、問い続ける力にあるのではないでしょうか。「諫言の士を持て」とはいうものの、リーダーに対して耳の痛いことを率直に言ってくれる周囲は少ないもの。職位が上がり責任が重くなるほどに、自問、自省しながら己を修めることが大事になってくるわけです。先ずはこの「修己治人」について考えたいと思います。

己を修める難しさ――リーダーが陥りがちな難所


「自問力のリーダーシップ」

 しかし己を修めるのは簡単ではありません。やるべきことをやっているつもりでも、実際の行動を振返ると決して褒められたものではなかった、というのは誰しも身に覚えがあるはず。例えば「部下との意思疎通」を考えてみます。「この程度は分かっていて当然。だから相手にはちゃんと伝わっているはず」と思い込み、見切り発車によってコミュニケーションが成り立たない。“ボタンの掛け違い”です。

 「戦略の策定と実行」でも似たような話を聞きます。「これだけやれば十分だろう」と内輪の常識で決めた(緩い)基準で満足し、ふたを開けてみると競合の後塵を拝していた。一歩踏み込みが足りない残念な例です。「読みの甘さ」「成功基準の緩さ」の2つ事例では「方向感は間違っていないが、実現のための思考と行動を深めきれない事」が難所だったといえます。

 逆に「考え方そのものを誤解している」ケースもあります。「自分でやること/任せること」の線引きです。部下に任せる大切さは誰もが理解しつつも、変化が激しくスピードと成功確率を重視する環境では、任せること=失敗のリスクが取りにくくなっています。

 本来なら、部下に仕事を任せ育成し、リーダーはより革新的なチャレンジに取組むべきなのに、リーダー自身も足元の仕事に忙殺されている状況です。責任感の表れという側面はあるものの、あえて厳しくいえば「リスク回避が高じて安全策に走り、自らは結局昔からできる仕事に安住している」ということにもなるのです。この「役割の誤解」にハッとするリーダーも多いのではないでしょうか。

 ここまで見てきたように自らを修めるには、あるべき姿を何が阻害しているか、その難所を正しく認識することが不可欠です。自らの行動をプロセス分解し、問題のある行動、能力、意識に層別認識することが第一歩です。2007年当時トヨタ人事部の方とこうしたことを議論し、難所のパターン認識がかなり整理できました。このエッセンスは事例とともに「自問力のリーダーシップ」(ダイヤモンド社)にまとめ、リーダーが自問を通じて振返れるような書籍になっていますので、皆さんにとって少しでも参考になれば幸いです。

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