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世界中の高齢者を美しくしたい――資生堂の挑戦(2/2 ページ)

早稲田大学電子政府・自治体研究所が開催したフォーラム、「超高齢社会と情報社会の融合」で、資生堂の檜山氏が講演を行った。テーマは「シニアの健康、いきがいと化粧」。同社の地道な取組みと独自のIT活用を紹介する。

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ソフト資産を有効活用し、世界の高齢者市場へ

 資生堂は、こうした長年の高齢者向けの活動に加え、美容部員を選抜し6カ月間の高齢者に対する理解を深める講習を実施している。この講習を終えるとビューティーセラピストとして仕事ができるようになる。

 また、情報技術を活用して「化粧シミュレーター」も開発した。これは実際の顔ではなく、顔の画像データに化粧を施していくもので、簡単にやり直しもでき、化粧を施した顔のデータを送信することもできる。家族や知人に仮想的に化粧した顔を見てもらい、その反応を高齢者本人に知らせることもできる。

 「認知症の方の中には、実際に化粧をすることをいやがる人もいる。その場合は、化粧をした画像データで見てもらうことで、化粧療法を受け入れやすくする。このマシンは銀座の“SHISEIDO THE GINZA”にもあるので、興味のある場合はそちらで試すことができる」(檜山氏)

 日本での活動とともに、資生堂では海外でもこの取組みを広げていこうと考えている。中国には現在約1億4000万人の高齢者がいるといわれ、近い将来4億人ほどに増えることが予測されている。他のアジア諸国も含めれば、高齢者向けの美容ビジネスは巨大なマーケットになる。

 そこで重要になるのは、美容のための知識、ノウハウだ。資生堂では、製品だけでなくこうしたソフト資産をさらに充実させて、グローバルな活動を積極的に行っていくという。

 「日本で実施している有償の化粧教室は2011年で71施設の実績があり、一度もキャンセルされたことはなく、問い合わせはどんどん増えている。こうした活動で得られた情報を蓄積し、業務にフィードバックさせていく場合にもICTは欠かせないものになっていくと思う」と檜山氏は語る。

 日本の高齢者を美しく。そして世界の高齢者を美しく。資生堂の取組みは今後も大きく広がっていきそうだ。

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