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アクティビティとコミュニティーがキーワード──超高齢社会(2/2 ページ)

フォーラム「超高齢社会と情報社会の融合」で、「産官学から見た超高齢社会と情報社会の融合」をテーマに、産官学それぞれの立場で活発な議論が展開された。

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世代間ギャップを対立軸としてとらえない

 アクティブで行動的、消費にも積極的な高齢者が増える一方で、独居高齢者など孤独な環境で毎日を過ごす人の問題もある。早稲田大学の小尾氏は次のように話す。

 「ICTですべての高齢者問題が解決するわけでは、当然ない。インターネットで遠くにいる家族とコミュニケーションできるというのは素晴らしいが、やはり近くにいる人との交流も重要。災害や病気が起きたときはそばにいてくれる人がどれだけいるかがポイントになる。海外では高齢者を見守る地域組織を積極的に作っているところもある。社会の仕組みとして日本はもう一度このようなものを考えていくべきではないか」(小尾氏)

 欧州では「幸せに年をとる社会」というものがひとつのスローガンとして定着しているという。日本が先駆者として超高齢社会の世界的なモデルを作り上げていくなら、こうしたスローガンの意味をもっと考えるべきだと小尾氏は指摘する。

 「幸せに年をとる社会」という意味では、高齢者に対する視点だけでビジネスや福祉をとらえるのでは限界があるのではないかと、総務省の阪本氏は指摘する。

 「高齢者とそれ以外の層との世代間ギャップは存在するが、それを対立軸としてのみとらえていると、いろいろなところに限界が出てきてしまう。例えば高齢者に使いやすいICTを考える前に、どの世代にも役立つICTという大きな枠組みでの発想をもっと練っていくほうがいいと思うし、その上で、高齢者特有の問題を解決していくという方向性が必要なのではないか」(阪本氏)

 また、世代間ギャップに関連して、小尾氏は若者の超高齢社会に対する関心、参加意識の高さについて語る。

 「大学で学生を対象にした超高齢社会のシンポジウムを開催すると定員をはるかに上回る応募があった。携帯電話やPCの使い方をお年寄りに教えるボランティアなどへの参加者もどんどん増えている。若年層も含めて、超高齢社会についてもっと広く議論していくような環境は整ってきたのではないか」(小尾氏)

 超高齢社会の到来はビジネスチャンスにもつながり、日本の産業にとって大きなインパクトを持っている。しかし、各パネリストからも指摘があったが、高齢者問題はそれぞれの国にとっては内政問題でもある。世界の手本になるようなモデルを作り上げるには、このことも十分に考慮していく必要があるだろう。

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