アイコンタクトが苦手な日本人:世界を股にかける!──A global player!
廊下などで知り合いとすれ違う場合、日本人は目線を下にして相手の顔を見ないことがありますが、西洋人の多くはこうした態度を失礼に感じます。
日本では、目と目を合わせるのは礼を欠いた不作法にあたると言われたことがあります。それが真実かどうかは分かりませんが、私が参加した会議では、アイコンタクトを取る機会はめったになく、あっても西洋諸国と比べるとごく控え目だったのは確かです。
統計によれば、日本人が相手と対面している間にアイコンタクトを取る時間の割合は、平均で10%程度とのこと。会社の玄関ホールやロビーで知り合いに出くわしても、日本人は目線をやや下に向けて、相手の顔は見ずにすれ違う場合が多いようです。一方、西洋人の多くは、こうした態度を失礼に感じ、無視されたと思ってしまいます。
西洋文化では、きちんとアイコンタクトを図って、手を軽く動かしたり、眉毛を少し上げたりして挨拶するのが普通ですね。眉を持ち上げるのは、「やあ」という意味になります。眉毛を上げてから元に戻すまでには、1秒もかかりません。西洋人はこの合図を無意識に行っており、互いを認めたというサインになります。これに笑顔で答える人もいれば、相手に近寄って話しかける人もいます。
西洋文化において目を使った合図は非常に大切であり、学生を対象にした実験でも、意識的にアイコンタクトを避けるのは落ち着かないと大半が回答したそうです。わざと目を合わさないのは、不誠実かつ怪しい行動ととられてしまいます。アイコンタクトは普通、はっきりした形で行われるものです。相手の話を聞いていることを示す印でもあります。ギリシャやスペインなどでは、アイコンタクトは非常に大きな意味を持ち、言葉を際立たせる存在です。ほかの国でも、信頼関係や親密な雰囲気を育てる手段の1つとして、アイコンタクトが重要になるケースは少なくありません。目は心の窓とも言いますよね。
外国人と仕事をするときは、こうした無意識のジェスチャーがあることを常に念頭に置き、アイコンタクトやほかのサインを積極的に取り入れて、相手の話を聞いていることをアピールしましょう。そうすれば、誤解されたり、不快感を持たれたりすることも少なくなりますよ。
著者プロフィール
ジャスミン・A・ワグナー(Jasmin A. Wagner)
ドイツ、ハンブルク出身。2歳の時に両親とともにヨットで世界一周の旅に出発。その後15歳になるまで世界30カ国以上を訪れる。この旅についてのニュースは世界中で評判になり、韓国で絵本が出版され、日本でも多くのメディアで紹介される。アジアには10〜15歳まで滞在。そのうち4年間は奄美大島に滞在。その後も両親は旅を続け、自分は1人でドイツに帰国。優秀な成績で学業を修め、経営管理学ディプロマ Diplom-Betriebswirt(BA)を取得。ドイツの有名自動車企業に就職後、28歳でエグゼクティブに抜擢される。
世界中の支社で働くうちに、それぞれの国に大きな特徴、強み、弱みがあることに気づく。コミュニケーションスキルでビジネスの成功に大きな差が出ることを痛感。ニューヨークにてイメージコンサルティングスキルを学ぶ。キャリアの傍ら、グローバルコミュニケーションやイメージコンサルティングセミナー、トレーニングを展開する。独、仏、英語、日本語を話す。空手初段。
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