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車いすの視点で暮らしやすい社会を作るミライロの学生社長日本の元気ダマ(2/3 ページ)

障がいは強みになる――先天性骨形成不全症で幼少時より車いす生活を送ってきた垣内さんはそう気が付いてから、ありがとうを言う側から言われる側になった。

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障がいは強みにもなる

 仕事をしていた1年間が自分を変えてくれたと垣内さんは振り返ります。それは勤務先の社長が、垣内さんを真剣に怒ってくれたからです。

 始業時刻に遅刻すると怒られる、お客さまとの約束の時間に遅れるとまた怒られる、と怒られることの連続だったそうです。今までは、車いすだからと遅刻は容認されてきました。しかし社長は、「社会人なのであれば、車いすで移動するにはどの位の時間が掛かるか、エレベータがあるかどうかなどを事前に調べるのが当然だ。車いすに乗っていることに甘えるな!」と垣内さんを叱ってくれたのです。

 営業成績が良かったことも励みになりました。垣内さんが熱心に通う姿を見て、お客さまが「また、車いすのアイツが来た」と覚えてくれるようになり、社長からは「お客さまに覚えてもらえるのは、垣内の強み。良かったな」と言われました。そのとき始めて、車いすに乗っていることが強みにもなる、と垣内さんは気付いたのです。

 こうしたきっかけもあり、自分の障がいを役立てられるのではないかと垣内さんは考えるようになりました。障がい者ならではの視点を生かしたビジネスモデルを作ってコンテストに応募して13もの賞を獲得、さらには、障がいという強みを生かした会社を立ち上げることにもなりました。


賞金を獲得してVサインをする垣内さんと、当時の仲間

バリアバリュー(障がいが価値となる)社会

 平成に入ったころから、障がい者が自由に生活できる社会が整ってきたと私は感じます。大阪の地下鉄ではすべての駅にエレベータが設置されるなど、バリアフリー化は着実に進んでいます。

 しかし施設の実現にはお金が掛かりますし、障がい者に対する理解が不足していることもあり、まだまだバリアフリー化は十分とは言えません。

 さて、ここで質問です。バリアフリーとは、障がい者だけのためのものでしょうか?

 国土交通省が2011年に大阪5カ所の駅で行った調査によると、エレベーターやエスカレーターが設置された駅では、高齢者や子育て世代の鉄道利用が増え、年間2億円の経済効果があった駅もあるそうです。

 ホテルやレジャー施設、飲食店などもバリアフリー化を考えています。障がい者や何らかのハンデを持っている人が施設を利用できるようになれば、経済効果が見込めるからです。

 今後日本は、高齢者、障害がい者の数が人口の3分の1を占めるといわれています。バリアフリー対応は、社会道義的観点からだけでなく、経済的な観点からも重要性を増していくのです。

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