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部下がノートを取らないんです田中淳子のあっぱれ上司!(1/3 ページ)

「せっかく教えているのに、ノートを取らない」「メモするのはいいけれど、すぐどこかに無くしてしまう」――こんな部下、あなたの周りにもいませんか?

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 先日ある勉強会で「絵を使った伝言ゲーム」を体験した。5人でチームを組み、1人だけ講師から1枚の絵を見せられる。内容を記憶したら紙が伏せられ、記憶した絵を再現する。2人目は1人目が書いた絵を見て記憶し、紙を伏せられてからその絵を再現する。3人目、4人目と続き、5人目が絵を再現したところでゲーム終了である。

 元の絵はさほど複雑なものではなく、どちらかというとかなり単純な構図のものだった。それなのに、スタートが「牛」だったのに終点では「ひまわり」になるなど、5人目になるころには出だしとまったく異なる、似ても似つかぬ絵になってしまった。

 誰もが見たものを正確に忠実に再現しているつもりだった。誰一人として手を抜いていなかった。それなのに、こんなに変化してしまうのはなぜなのだろうか。

記憶はあいまい

 人間は、記憶しきれない部分を自分の考えや経験で補ってしまうことがある。記憶していたつもりでもいざ再現しようとすると微妙な線や形が変わってしまうこともある。とにかくいろいろな理由により、寸分たがわず正確に記憶し再現するなんてことは無理だと、ゲームで体感した。

 ○や□、あるいは単純な曲線で構成された絵でもこうなるのだ。仕事上の指示などを詳細まで記憶するなんて無理に違いない。記憶したつもりでも正確に再現できない可能性の方がうんと高い。自分の脳みそを過信してはいけないのである。

 「部下が指示したことを忘れちゃって、言ったことを全部できないことがよくあるんですよね」「そうそう、ノート取らないんだよねえ」「ノート取らないからすぐ忘れちゃう」「勘違いしていることもあるし」と、部下がノートを取らないことでマネジャーたちが盛り上がることはよくある。

 「こっちが真剣に教えているのに、ノート取らない若手には、どうしたらいいでしょう」と尋ねられることもある。こういうとき、私はすかさずこう答えることにしている。

 田中 「ノートを取らないから忘れたり、勘違いしたりすると明らかなんですよね。だったら、教えなければいいんじゃないんですか?」

 マネジャー 「え? どういうことですか?」(きょとん)

 田中 「ですから、ノートを取らない人には教えなければいいんですよ。教えるから、ノートとペンを持ってきなさい。手ぶらの人には教えない、と言えばいいのです。そして、目の前で書かせればいいのでは?」

 マネジャー 「あ、そうか。確かにね」

 こんな単純なことでも、部下や後輩を教え育てる渦中にある人は気付けないことがあるらしい。

 では、ノートを取りさえすればよいのだろうか。いや、ことはそう単純ではない。

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