全国の名産を愛知で作る、スギ製菓:日本の元気ダマ(3/3 ページ)
このままでは経営していけない!――異物混入事故、大口取引先倒産のダブルピンチを乗り越えるためにスギ製菓が選んだのは、既存流通構造からの脱却だった。
地域の同業者との共存共栄
スギ製菓は「共(とも)に」という考えを大切にしています。
OEM事業はスギ製菓だけでは、取引先の要望に応えるすべての商品を製造できません。地元周辺の同業者から仕入れることで、幅広い商品を安定的に提供できるのです。
しかし元受けだからといって、かつて卸問屋にされたようないじめを仕入れ先にすることは断じてありません。値下げ要求は一切しませんし、支払も手形ではありません。月末が土日であれば前倒しで支払います。こうした姿勢に信頼が寄せられ、地元の同業者が新商品を最初に持ってきてくれるなど、よい関係ができてきました。
社員は地元出身者から優先的に採用します。学歴は不問で、中卒も大卒と同じ扱いです。「偏差値教育の影響で暴走族になったりする子もいるが、みんな本当はいい子ばかりだ」と杉浦社長は言います。どんな生い立ちの子であっても、素直に人の話を聞いて行動し、周りの人から認めもらえるような社員に育つことが杉浦社長の願いです。
スギ製菓の元気のポイント!
- チャネル開拓 卸問屋との取引から決別し、OEMで独自のチャネルをつくり、お客様の声を直に聞くために、直営店舗の運営を行っている。
- 商品力 味にこだわり、毎年、数多くの新商品開発と品質改良に取り組んでいる。・地域・同業他社との一体感 地域の方やお煎餅をつくる同業他社と共存共栄を目指し一体感を持って取り組んでいる。
著者プロフィール:藤井正隆(ふじい まさたか) 1962年生まれ
イマージョン 代表取締役 MBA(経営学修士)、法政大学院 坂本光司研究室 特任研究員。ドリームゲートアドバイザー。
徹底的現場主義で年間100社以上の企業視察を踏まえた実践的な教育研修とコンサルティングを実施。農業にも問題意識を持ち、日本の農家(株)も立ち上げ精力的活動中。
専門分野:組織開発コンサルティング、マーケティング戦略と実行組織の最適化。
著書:「ぴょんぴょんウサギとのろのろカメの経営法則(経済界)」「感動する会社は、なぜ、すべてがうまく回っているのか?(マガジンハウス)」他、ビジネス雑誌に執筆多数。
ITmediaオルタナティブ・ブログいい人財、いいチーム、いい組織をつくる!
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 車いすの視点で暮らしやすい社会を作るミライロの学生社長
障がいは強みになる――先天性骨形成不全症で幼少時より車いす生活を送ってきた垣内さんはそう気が付いてから、ありがとうを言う側から言われる側になった。 - 小さな漁港を守れ! 旬材、55歳からの挑戦
漁業者に収入とやり甲斐をもたらした流通革命の秘訣は、長年築いた信頼関係にあった。 - お好み焼きで福を広める、団らん応援企業オタフクソース
広島のお好み焼き文化は、ソースメーカーの普及活動とともに成長してきた。 - 貧困国の雇用を創出する印刷屋、丸吉日新堂印刷の挑戦
全国から約2万7000件の名刺制作を受注をする札幌の小さな印刷会社の成功の秘密は、地道な社会貢献にあった。 - 障がい者とともに農業の在り方を変える、京丸園の取り組み
京丸園が家族経営から企業経営へと脱皮するきっかけとなったのは、14年前に採用した1人の障がい者だった。 - 仕事を創りに帰りたい離島、海士町の挑戦
存続の危機に陥っていた町を、都会から移住してきた300人のIターン者、島民、町の職員たちが三位一体となって盛りたてた。