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これからのパートナービジネスは「プラットフォーム」「エコシステム」がキーワード――早稲田大学ビジネススクール 根来教授(1/2 ページ)

従来のバリューチェーン内での提携、連携ではない、パートナー企業との連携で大きな成果を上げている企業が出始めている。

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 さきごろ開催されたエグゼクティブリーダーズフォーラム第38回インタラクティブミーティング(早稲田大学IT戦略研究所主催)のテーマは、「パートナー企業との連携による事業展開」というもの。これに関連して早稲田大学 大学院教授の根来龍之氏は、「パートナー企業とのコラボレーションで実現するプラットフォーム戦略とは」と題した講演を行った。

アップルとアプリメーカーの関係


早稲田大学ビジネススクール 根来教授

 パートナー企業との連携といえば、原料や部品を提供する、製品を設計し工場で生産する、製品の物流を担う、消費者に販売するといったそれぞれの工程を担当する企業同士の連携がまずイメージされる。つまりバリューチェーン内での提携、連携の事業展開ということだ。

 しかし、根来氏はそれとは違ったパートナー企業との連携を行い、大きな成果を上げているケースが出てきていると指摘する。

 「ビジネスには製品やサービスの売り手と買い手がいる。バリューチェーン内の連携では買い手に直接働きかけるのは川下の販売を担う会社だけだ。しかし、最近のパートナー連携の例では、買い手に同時にいくつもの企業が働きかける例が増えている」(根来氏)

 買い手に同時に働きかける例でもっとも分かりやすいのが、アップルとiPhoneやipad用のアプリを開発、提供している企業との関係だ。アップルはiPhoneやipadという製品によって買い手に働きかけているが、同時にアプリメーカーも買い手に直接働きかけている、と根来氏は指摘する。

 アップルとアプリメーカー、そしてiPhoneやipadという製品の関係は、「アップルが構築したプラットフォームの上にパートナーであるアプリメーカーが乗り、iPhoneやipadというプラットフォーム製品を介してサービスを提供しているという表現ができる。こうしたバリューチェーンに依らない新しいパートナー戦略はプラットフォームを基軸にして展開されており、事例はIT関連だけにとどまらない」(根来氏)

駐車場ビジネスが形成するエコシステム

 根来氏は、こうしたパートナー戦略の実例として、「タイムズ」などのパーキングビジネスを展開するパーク24グループを挙げる。同社は、地主から土地を借り受け一定の賃料を支払いながら駐車場を設営するビジネスを展開している。ここでは、パーク24グループと地主はパートナーということになる。

 「パーキングビジネスは、適度に車両が駐車場を利用していることが大切。いつも満杯状態の駐車場には誰も利用としなくなる。そこで、パーク24グループは、利用者の会員組織を作り、行き先に合わせて駐車場の空き状況を伝えるサービスを始めた。そしてここで得られた情報で地域商店や事業会社のマーケティング支援をしている。パーク24グループは利用者の情報をプラットフォームにして、地域事業者をパートナーにサービスの買い手に直接、同時に働きかけているわけだ」(根来氏)

 また、同社は地域の商店などと組んで共通のポイント制度を開発しているという。

「プラットフォームを基軸にしたパートナー戦略が、新しいエコシステムを創出したことになる。同時に買い手に働きかけ、さらにエコシステムを作り出し、共存共栄を目指すわけだ」(根来氏)

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