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1店舗ずつ黒字化しながら海外に展開――無印良品に学ぶグローバル経営ITmedia エグゼクティブセミナーリポート(1/2 ページ)

海外の連結売上高構成比20%を達成し、24カ国に展開している「無印良品」。ビジネスモデル、オペレーション、人材育成などからその成功の秘訣を解き明かす。

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 2013年12月13日に開催された「第26回 ITmedia エグゼクティブ フォーラム」の基調講演に、良品計画の会長である松井忠三氏が登場。「"無印良品"に学ぶガバナンスとグローバル経営の勘所」をテーマに講演した。

「わけあって安い」がうけた無印良品

 1989年に設立された良品計画は、「わけあって安い」をコンセプトに「無印良品」ブランドの商品の企画、開発、販売および店舗運営を事業として展開。国内388店舗、海外24カ国・地域242店舗の約9000人の従業員により、約2000億円(連結売上)を売り上げている(2013年2月末現在)。


良品計画松井会長

 無印良品では、「百貨店のクオリティで価格は7割掛け」の商品を提供することを目的に、素材の見直しや工程の点検、包装の簡略化などに取り組んだ。「モノしか見えないモノをつくる」という発想の原点により事業を推進。1990年から1999年までは、順風満帆の成長を遂げ、1991年には海外展開も実現している。

 当時の創業者は「海外で戦えないブランドは国内でも通用しないと考え、早い時期より海外に進出した。しかし創業から10年で初めての挫折を経験。2000年には初めて減益に転じ、2001年にはさらに減益となった。挫折の要因は、慢心やおごりにより大企業病が急速に進んだことや急速な拡大戦略など」と振り返る。

 当時、ユニクロや100円ショップ、ニトリ、ヤマダ電機などの競合勢力の台頭も要因の1つであった。そこで2001年、2002年の2年間にわたり、大規模なリストラを実施。まず2001年には、新しい人事体制を確立し、経営陣を強化。経営改革プロジェクトを発足して、不良在庫の処理や不採算店舗の閉鎖・縮小、海外のリストラなどを実施した。

 また2002年には、店舗のリストラにめどをつけ、生産や調達の構造を改革し、買い物優待券やMUJI CARDポイントなどによりロイヤルティを向上。次の成長に向けての準備を着々と進めた。松井氏は、「こうした取り組みにより、2002年よりV字回復を実現することができた」と話している。

早い時期から海外展開を視野に事業を展開

 良品計画では、1991年7月に英国ロンドンに無印良品の英国1号店をオープンした。この店舗はリバティ百貨店とのパートナーシップにより実現している。また同年11月には、香港のウィオングループとの合弁会社により香港1号店をオープンしている。しかし当初は、事業がなかなか軌道に乗らず、1998年にいったんアジア地域から撤退し2001年に再度上陸した。海外事業全体は2001年度まで赤字が続き、2002年度にようやく黒字に転じた。

 「海外戦略のポイントは、出店する国や地域の事情にあった展開をするすること。例えば英国では、ディベロッパーが優位で、テナントでは家賃が厳しいことを学んだ。こうした失敗を踏まえて、2001年に再出店した香港の店舗は1年で黒字化した。ブランドの浸透と出店のスピードを一致させることが重要」(松井氏)

 オペレーションの方法としては、基本的には直営店でスタートすることとし、直営店はマジョリティー出資により出店。こうした戦略により、1店舗ずつ黒字化させながら海外展開を推進した。欧州、アジア地域での成功を足がかりに、念願であった世界最大の小売市場である米国に進出。2007年11月にニューヨークに米国1号店を出店した。

 「米国市場は厳しいイメージがあり、最後に進出することにした。ここで負けてしまうと立ち直れなくなる可能性があるため、入念な準備が必要だった。これが大成功を収めた。米国1号店のオープン初日の売上は、いまだに超えることができないほどであった。2008年にリーマンショックの影響で売上が落ちたものの、2011年には回復している」(松井氏)

 また中国では、北京や上海など、33都市に89店舗を展開している。中国も少し苦労をした」と松井氏。中国では、商標である「無印良品」および「MUJI」が、25類(被服、履物)で不正に先行登録されたため、長らく本物の無印良品が偽物扱いをされるという憂き目を見た。また模倣商品も横行していたことから、人民日報に「厳正声明」を掲載し、さらにイメージ広告を展開することでブランドの回復に取り組んだ。

 松井氏は、「中国の売り上げ実績は、尖閣諸島の問題で2012年9月に落ち込んだものの、11月には回復した」と語る。中国においては、マネキン周りのほこりが掃除されていない、ストックボックスが整理整頓されていないなど、オペレーション上の問題も抱えているが、「業務標準化委員会」を設置することで、一つひとつ解決していった。

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