必ず部下を“ワクワク”させる、究極のリーダーシップセオリー:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(1/2 ページ)
リーダーに向き不向きはない。また輝かしい実績も無用で、大声を張り上げる必要もない。部下をワクワクさせるのに必要なこととは。
この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。
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こんにちは、らしさラボの伊庭です。今回、リーダーシップのセオリーについて書いた本を出版しました。なぜ、セオリーなのか。それは、名曲と言われる曲のコード進行のほとんどが同じであるよう、部下をワクワクさせるリーダーシップにもセオリーがあり、ぜひそのセオリーを1人でも多くのリーダーに知ってほしいと考えたからです。
もし今、あなたが、部下をワクワクさせられずに悩んでいたとしても、まったく気にしないでください。最初に言っておきますと、リーダーに向き不向きは全く関係ありません。そのセオリーを実践しているかどうかだけですので、セオリーを実践すれば、確実にワクワクさせることができるのです。
私は、企業のリーダーへの研修と、その実践に向けてのコーチングを行っています。研修とコーチングをあわせると年間300回以上の機会を持っているのですが、そこで分かることは、部下に関心を持つリーダーは必ずといってよいほど部下のモチベーションのことで悩んでいるということです。
ゆえに、らしさラボの研修でもセオリーを紹介することになるわけですが、不思議なことにそのセオリー実践するだけで、とたんに部下の反応は変わり始めます。中には朝礼でスピーチをしたところ、大勢の部下から大きな拍手をもらい「一緒にやりましょう!」と声があがるということもあります。
そこには、輝かしい実績も無用ですし、また大声を張り上げる必要もありません。必要なのはセオリーです。そして、そのセオリーを書いたのが「強いチームをつくる!リーダーの心得(明日香出版社)」です。今回は、ここから最も重要なセオリーを紹介していきます。
ワクワクさせるリーダーの心得とは?
必ず私がリーダーにする質問があります。それは、「あなたは、何のために今日も会社に行くのですか?」という質問。ほとんどのリーダーは、ここで困惑します。「業務があるから」「部下を管理しないといけないから」「営業目標を達成しないといけないから」「部下を育成するため」、だいたい、このような答えをひねり出されます。
そこで、私はこう続けます。「それは、あなたの任務ですよね。私が聞きたいのはあなたがリーダーとして、何に挑戦しているのかを聞きたいのです。それを部下は知りたがっています」と。
さて、この挑戦のことを「リーダーの使命」と言います。部下をワクワクさせるには、「リーダーの使命」は不可欠。使命こそが人、組織を動かす根拠となります。言い換えると、使命がないリーダーは、絶対に部下をワクワクさせることはできないのです。
でも、難しく考える必要はありません。では、さっそく使命の仕立て方を紹介します。まず、あなたの「この仕事にかける想い」を次の構造で整理をしてみてください。
【使命の構造】
「私は、[A]の人達が[B]のような状態になっていることを放置できない。[C]の状態にしなければならないと考えています。だからお願いです。力を貸してください。よろしくお願いします」(部下に頭を下げる)
使命のセオリーとは、この[A][B][C]を明確にしておくことなのです。では、さっそく、ポイントを解説します。
まず、[A]。誰のために頑張るのか。その時、Level4の視点で語ることで、部下からの求心力が高まります。次を見てください。
Level1 「I」の視点(組織目標の達成のため、頑張ってほしい)※組織目標=上司の目標。なのでI
Level2 「You」の視点(君たちの未来のために頑張って欲しい)
Level3 「We」の視点(私たちの未来のために頑張って欲しい)
Level4 「They」の視点(彼らの未来のために頑張って欲しい)
失敗で多いのは、Level1「I」の視点で語ってしまうこと。組織目標の達成は、上司に託された任務ですので使命として成立しません。また、Level2、Level3も悪くはないのですが、心を揺さぶる使命になりにくいという限界があります。部下が本当に知りたいのは、どんな未来予想図をリーダーは描いているのか。ぜひ、Level4で考えてほしいところです。
部下から大きな拍手をもらった藤田さん
私のコーチングを受けた、求人広告会社の営業リーダーの藤田さん(仮名)も最初は「営業目標を達成させることが私の挑戦」と意気込んでいました。しかし、それは「任務」であり「挑戦」ではありません。
営業目標は達成できなければ失格です。ゆえに、目標達成は挑戦ではなく任務なのです。これは「人を育てる」ということも同様。人を育てられなければ失格。だから挑戦ではありません。挑戦とは、任務を超えたものであり、何が何でも成し遂げたいことを指します。
そして、何度も会話を重ねる中で、藤田さんは自分の経験の中から使命を見つけることとなります。それは、藤田さんが担当する会社の話。その会社は後継者が見つからずに、残念ながら廃業になったそうです。彼は、その時の社長の悲しそうな表情が忘れられないと言います。そして、その時に思ったそうです。「もっと、早く社長と出会って、求人のサポートができたら…」と。そこから、使命が仕上がったのです。藤田さんは部下を集めて、その使命を朝礼で語りました。
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