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カカクコムの徹底した「ユーザー本位」、その鍵は情熱ある“オタク社員”にあったポーター賞企業に学ぶ、ライバルに差をつける競争戦略(2/4 ページ)

価格比較サイトの先駆けとして90年代末に登場した「価格.com」は、いまや月間8億7000万ページビューという巨大サービスに成長した。その成長の裏側には一体何があったのだろうか。カカクコム・田中社長が語った。

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メディアの力で中立性を確保する

菅野 カカクコムの競争力の源泉は社員の情熱に裏打ちされた、ユーザーの利益に対する徹底的なこだわりと言えそうです。

一橋ICSの菅野寛教授
一橋ICSの菅野寛教授

田中 その通りです。新製品情報ではメーカーごとに表現が微妙に異なるために、単にメーカーが提供するデータのコピー&ペーストでは正確な横断検索は不可能です。そこで、それらの調整には人、しかもオタクの判断が欠かせません。データ入力に関して当社は家内制手工業の世界を頑なに守っています。泥臭い作業ですが、これも他社のサービスに対する優位性の1つではないでしょうか。

菅野 価格.com事業は、メーカーや流通企業からの広告出稿が最大の収益源になっています。しかし、広告出稿側と利用者とでは利害が一致しないこともあるはずです。このジレンマにはどう対処しているのでしょうか。

田中 価格.comの月間総利用者は4600万人以上、総ページビュー数は8億7000万PVにも上ります。誤解を恐れずに言えば、このメディアの力で中立性や独立性、公平性を保っています。このメディアの力が十分になるまでは当社はマネタイズに乗り出すことはありません。

 例えば、グルメサイトの「食べログ」も、事業をスタートしてから2009年までの丸4年間、ほぼ無収入でやってきました。マネタイズの目安にしたのは月間1000万利用者を達成すること。この規模になれば、食べログを見てからの来店も確実に見込め、たとえ辛辣な意見が書き込まれたとしても、飲食店にお金を出す価値を認めてもらえると判断したのです。それは価格.com事業でも同様です。もし、最初からメーカーにお金を貰っていたのなら、ご指摘のジレンマに陥って苦戦を続けていたでしょう。

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