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「塚田農場」はなぜ生産性が高いのか──社員が意気に感じ楽しんで仕事をすること気鋭の経営者に聞く、組織マネジメントの流儀(2/3 ページ)

自社農場をつくったのはメーカーや問屋を通して仕入れるよりも、安いという発想だった。自社農場が地域活性化につながり、社会に貢献している意識が社員を奮い立たせ生産性向上につながった。お金のためではなかった。

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事業による社会貢献が、社員やお客さまの共感に結び付いた

中土井:その頃の経験があったからこそ、今の業態、組織のあり方に行き着いたといえそうですね。


米山氏(左)と聞き手の中土井氏(右)

米山:働くスタッフに事業に対する共感性を持ってもらえると、組織の継続性は高まり、結果として生産性の向上にもつながると気付きました。

 今でこそ、社会貢献のイメージが強く出ていますが、自社農場をつくった当初は、地方での雇用創出や、第一次産業の活性化につながるとは考えていませんでした。メーカーや問屋を通して仕入れるよりも、自社農場を持った方が安く仕入れられるという発想だったんです。実現するにしたがって、私も想像していなかった世界が広がり、地域活性化による社会貢献という意義が現れてきました。社会のためになっていることで、スタッフが事業に対して意気に感じるようになり、お客さまも私たちの事業に共感してくれるようになりました。

 お金のためではなく、社員や働くスタッフが意気に感じてくれることは何かということをいつも考えた結果、社会の役に立つことが彼らを奮い立たせ、生産性を高めるということに気付きました。彼ら、彼女らが意気に感じてくれる武器を用意し続けることが事業の継続性、生産性の向上に結び付くんだと思います。20代の頃から会社をいくつも起業してさまざまな経験を積んできた中で、今のかたちが最も生産性の向上に貢献してくれると分かりました。

自分のやっていることが社会貢献となっていると気付かされた言葉

中土井:米山さん自身は最初から社会貢献を目指していたわけではなく、生産性向上を目指した結果、社会貢献にたどり着いたというのが興味深いです。

米山:今の事業が社会貢献となっているということに、私が最後に気付いたというのが正しいかもしれません。20代の若い人たちに教えられた気がします。

 自社農場を最初に作るときは、社会貢献になるとは考えていませんでした。農家には「うちと手を組んで一緒に儲けましょう」という話をしていたくらいです。しかし、若い世代の見方は違っていました。農大出身の社員と一緒に農家の元へ出張に行ったときのことをよく覚えています。新しく農場ができ、雇用が生まれている状況を見て、彼は「どんどん生産者が減っている今の時代に、私たちの取組みで生産者が増えて、こんなにたくさんの人が喜んでいる。社長、これは本当にすごいことですよ。」と言ってくれたんです。

 当時の私は、まだ農業全体のことも理解していませんでしたし、農家が稼げるようになり、自分も利益を得て喜んでいただけでした。彼のような若い世代、農業を学んできた人にはそんな風に見えていたということを知り、社会的に大きな意義のある取組みなんだと気付かされました。

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