リーダーこそ挑戦を――トライアスロンでチーム力と時間のマネージメントを学ぶ:ITmedia エグゼクティブ勉強会リポート(1/2 ページ)
過酷でストイックとの印象が強いトライアスロン。それを変えたいとの思いから設立した青山トライアストン倶楽部。トライアスロンは、リーダーが挑戦するスポーツとして最適という。
トライアスロンは、米国カリフォルニア州サンディエゴで生まれたスポーツで、スイム1.5キロ、バイク40キロ、ラン10キロのスタンダード(オリンピック)ディスタンスが基本である。より長い距離のアイアンマンから、短い距離のスプリントまで、さまざまな大会が開催されており、子供向けのものもある。
ゴール代表取締役で、一般社団法人EARTH 代表理事、青山トライアスロン倶楽部 代表、日本トライアスロン連合 事業広報チーム委員、港区トライアスロン連合 理事長、All Aboutトライアスロンガイドの肩書きを持つ関口秀之氏が登場。「リーダーが挑戦するスポーツ"トライアスロン"の社会的価値と魅力のすべて――2020年に向けて、成長著しいオリンピック・パラリンピックスポーツ」をテーマにトライアスロンの魅力を紹介した。
初めてのトライアスロン
「トライアスロンを始めたのは2010年から」と話す関口氏。以前はIT企業で働いていたが、スポーツ関連の仕事をやりたいと思い一念発起。2005年4月にゴールを設立し、2008年より働きながら大学院に通ってスポーツマネジメントを学び、2010年に青山トライアスロン倶楽部を設立した。トライアスロンを始めたきっかけは、2016年東京オリンピック・パラリンピック招致に敗北、30代最後の記念に第3回東京マラソン2009に参加したことにさかのぼる。
関口氏は、「2016年をイメージして最高のモチベーションでスポーツビジネスに邁進していたが敗北。そんな中、スポーツビジネスで成功しているものは何か?と考えた時にすぐに思い浮かんだのが東京マラソン。人気が高く、なかなか当選できないレースだ。そこで、当選できなかった人たちのパワーを何かに生かせないかと考えたときに思いついたのがトライアスロンだった。誰でも挑戦したくなるトライアスロン大会をつくれば、多くの人が参加してくれるのではないかと思い、日本トライアスロン連合に提案をした」と当時を振り返る。
その縁で、日本トライアスロン連合のPRやイベントを手伝うようになり、日本トライアスロン連合から「良いコーチを紹介するのでクラブをやってみないか」という誘いを受けて青山トライアスロン倶楽部が誕生した。関口氏は、「水泳やマラソンは苦手だったので、トライアスロンができるのか悩んだが、自分がやらないスポーツは好きになれない性分だったので、まずはやってみようと考えた」と話す。
トライアスロンと聞くと、過酷でストイックなイメージがあるが、フルマラソンに比べると格段に楽だという。疲労感がなく半端ない達成感が大きな魅力だと。
「フルマラソンが4時間前後の人であれば、スタンダードディスタンスは3時間かからない。自分自身が、クロールで25メートルしか泳げないところからのスタートだったので、倶楽部を運営するのであれば、初心者に優しいものにしようと考えた。未経験だった自分の経験を存分に伝えることができるのがほかと違うところ」(関口氏)
いまでは経験者はもちろん、数多くのトライアスロン未経験者が青山トライアスロン倶楽部の門をたたいている。
トライアスロンのイメージを壊す
青山トライアスロン倶楽部は、2010年に大人向けのクラブとしてスタート。3年前に大阪(3月から大阪トライアスロン倶楽部)、2年前にジュニア、昨年よりキッズと拡大している。女性の会員が多いのも特長の1つ。小学生から60代までの会員が在籍し、外国人やパラトライアスロン強化指定選手も所属している。
骨肉腫と戦いながらトライアスロンに挑戦する土門伸行氏は、「病気になったことで、最初からできないとあきらめるのではなく、まずはやってみて、できなかったらどうすればできるかを考えるようになった。自分のやりたい方向に進んでいけば、良い結果が得られることを体験から理解している。興味があれば、まずは実践してみることだ」と話す。
また視覚障害を持ちながらトライアスロンに取り組む中澤隆氏は、「テレビ番組で全盲の少女がトライアスロンに挑戦していることを知り、自分でも挑戦したいと思い始めた。その少女の伴走者がこのクラブのコーチだったので運命的なものを感じた。ゼロからのスタートだったが、みんなに支えられて強化指定選手になれた」と語る。
「2年前、視覚障害のある中澤さんが、ロンドンの世界選手権に初めて参加したときに、ガイド役として参加した。写真では笑顔でフィニッシュしているが、ダントツのビリでした。雨の中の大会で、スイムで中澤さんが過呼吸になり、バイクでは落車、ランも痛みをこらえて何とかフィニッシュできた。お互いの予期せぬトラブルになぜか二人で走りながら笑っていた。そこまでの道のりに二人でトレーニングを重ねてきた充実感と感じていたかも知れない。世界はそんなに甘くないということも強く実感した。」と関口氏は語る。
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