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シンクライアント導入で重要なのはデジタル化でやりきるという“志”ITmedia エグゼクティブセミナーリポート(1/2 ページ)

アナログの情報をデジタル化することで、ネットワークを介し、いつでも、誰でも、どこにいても、同じタイミングで情報を利用できるようになる。そのためには、シンクライアント活用という手法がある。

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 6月4日「第15回 ITmedia Executive Round Table」を開催。基調講演には、大和総研、大和総研ビジネス・イノベーションの代表取締役副社長である鈴木孝一氏が登場。「デスクトップ仮想化は"使えるIT"の第一歩」をテーマに、大和証券グループへのシンクライアント導入事例を交え、デスクトップ仮想化が企業にもたらす真の恩恵について講演した。

オフショア環境をシンクライアント化


大和総研、大和総研ビジネス・イノベーション 代表取締役副社長 鈴木孝一氏

 大和総研グループは、大和総研ホールディングスを持ち株会社とし、大和総研および大和総研ビジネス・イノベーション(大和総研BI)を中核に、DIRインフォメーションシステムズ、訊和創新、DMS、DIR-ACE Technologyで構成される。大和総研は大和証券グループ向けに、大和総研BIは大和証券グループ以外の企業に、リサーチ、コンサルティング、システムの3つの分野でそれぞれ事業を展開している。

 大和総研グループのシステム事業では、システム開発の9割以上で海外拠点のオフショアを活用。大和総研とミャンマーのACE Data Systemsの合弁会社であるDIR-ACE Technology、大和総研BIとサイノコム・ソフトウェア・グループによる合弁会社として設立し、その後完全子会社化した訊和創新の2社を含め、最大1500名程度によるオフショア開発を展開している。この海外拠点にもシンクライアントが導入されている。

 シンクライアント導入前のオフショア開発では、プロジェクトごとにサーバやストレージを調達し、ミドルウェアなどのソフトウェアも導入して、システム開発環境を構築。これらを各拠点に設置して開発を行っていた。鈴木氏は、「各拠点にシステム開発環境を導入し、維持・管理するのは、効率的にもコスト的にも、さらに機動性においても課題があった」と話す。また各拠点のサーバに成果物が残るので、セキュリティ上にも問題があった。

 シンクライアントを導入することで、システム開発環境を日本のデータセンターで一元管理し、各拠点からはシンクライアントでデータセンターのシステム開発環境にアクセスする仕組みを構築した。これにより、サーバやミドルウェア、開発した成果物などの資産がすべてデータセンター内のサーバ上で管理されるので、システム要員の確保が容易になり、標準化により流動性も確保された。またオフショアならではのリスクも軽減している。

デジタル化の現状、シンクライアント導入の背景と変遷

 日本企業のIT化は、業務を改善するためのツールとして採用することが多かった。そのため同じ業種であっても、会社が違うと似て非なるシステムを構築している。つまり日本のIT化は、標準化されていない状況である。一方、海外企業のIT化は、OracleやSAPなどのERPパッケージにより標準化されている。そのためグローバルで、人材を採用しても同じオペレーションが可能になり、仕事がしやすい環境にある。標準化の取り組みの一環として、シンクライアントにも注目している。

 シンクライアント化の本質を理解すると、非常に幅広い分野で効果を発揮することができる。

 「シンクライアント化の本質はデジタル化を推進すること。コンピュータで情報を処理するためには、アナログの情報をデジタル化しなければならない。情報をデジタル化するメリットは、ネットワークを介して、いつでも、誰でも、どこにいても、同じタイミングで利用できることである。それをアナログに戻しては元も子もない」(鈴木氏)

 例えばリアルの世界のお金(現金)はネットの世界では使用できない。そこでATMから入金し、デジタル化することで、初めてネットの世界でも使うことができるようになる。またデジタル化されたお金は、いつでも、どこでも、ATMから引き出すことで現金に戻すこともできる。アナログ情報のデジタル化により、どのようなメリットが享受できるのかを理解することがポイントになる。

 「別の観点では、リアルの世界はガバナンス(統制)が効きにくいが、デジタル化することで全社的なガバナンスが効きやすくなる。つまりアナログ化を極力回避することで、統制が可能となる。デジタル統制に欠かせない端末、それがシンクライアントを導入するメリットといえる。またリアルの世界で発生する突然変異を、人の振る舞いや活動をデジタル化することで、ITを利用してビジネスにイノベーションを起こさせるかが今後の課題である」(鈴木氏)

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