決断の心理学――何かを変えるか、現状維持か:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)
日常的なことに追われていると何かを頑張っているつもりだが1年たったときに「あれ、何も変わっていなかった」と感じることも多い。今と違う1年を望むのなら何を変えればいいのか。
2つ目「決断するものに対する情報量を持っているかどうか」
いくらメンタルが強くなっても、まったく情報量がないことに対しては、決断することができません。アスリートが日々シミュレーション繰り返したり、投資家が投資対象について真剣に調べるように、決断するものに対して詳しくなることは、決断力を高めていくために欠かすことができません。
決断する上で、いきなり情報を集めるのは得策とは言えません。考えずに情報を集める作業に急に入ることは、居心地が良いかもしれません。しかし、それでは、今自分が集めている情報が何なのか定まりません。
大事なことは、最初に「何の情報があれば、自分は良い決断ができるのか」という「情報のカテゴリーを決める」ことです。カテゴリーを決めて、それについて情報量を増やしていくと、情報収集のスピードも早くなります。
情報がたくさんあったらいいのではなく、カギは「カテゴリー」なのです。決断した後に、情報が不足したと感じるときは、「情報量」ではなく、「情報のカテゴリー」が不足していたことが多いのです。
3つ目「選択の先にある大きな方向性を持っているかどうか」
決断したことの結果が正しかったかどうか、どうしたら分かるでしょうか?例えば留学するという決断をしたけれど、留学先の学校で良い友人がいなかったら、失敗だったのでしょうか?もしかしたら、友人がいないから、教授と仲良くなろうとして結果的に将来のメンター(師匠)となる人と関係を深められるかもしれません。決断の結果がよかったのかどうか、すぐに判断することがとても難しくなっているのです。
ですから、大事なことは「点」ではなく「方向性」として、自分の決断をとらえていくことです。「自分はどの方向に向かって決断しているのか?」が曖昧だと、一つひとつの決断に一喜一憂してしまうようになります。決断をするための情報収集をしていた環境と、いざ決断をするときの環境とはズレがあるかもしれません。決断の前提としていたものが変わるのですから、計算や予測ではうまくいくはずだった決断がうまくいかないことは、よくあるのです。
なんの為にその決断をしようとしているのか?
その目的がより大きければ大きいほど、どんな結果であれ、即座に次の決断の準備に入ることができます。ひとつの決断に人生を賭けるということは、決断に打ち込む姿勢としては美しいかもしれません。しかし、現実的に考えれば、いかにリスクを低く、高速で決断し続けられるかです。
決断が未来を導く
日常とは、選択の連続のことです。そんな日々の中で、少しでも良い選択ができるようにするという姿勢が、結果的に未来を想像以上のものにしてくれます。「昨日よりも 今日を 良い一日にする」その決意を一つひとつ、日々の行動に落とし込んでいくことです。
「今日をどんな1日にするのか?」
「まっさきに取り組むことは何か?」
強い想いを持っているだけでも素晴らしいことではありますが、思いが選択に反映しているかどうか、きちんとチェックする必要があります。実際の選択だけが、未来をより望ましいものに変えてくれるからです。
あなたがどんな決断をするのか、それが未来を導くのです。
著者プロフィール:池田貴将
リーダーシップ・行動心理学の研究者。
起業家・経営者層向けに定期講座を開催。
早稲田大学在学中よりベンチャービジネスの新規事業立ち上げなどに関わり、ビジネスの中での「心理学」の重要性を感じる。成果をもたらす心理学の中で、世界的に有名なアンソニー・ロビンズのトレーニングを受けに渡米。卒業後、株式会社オープンプラットフォームを設立し、起業家・経営者・ビジネスリーダー向けのスクールを主宰。「感情と行動をつくる心理学」に注目した新しいメソッドが、全国の実践者の注目を浴び書籍や雑あ誌などに取り上げられる。
ビジネスの成果を上げる「行動心理学」に基づいたリーダーシップと目標達成の講座は、「成果が出る」「説明がわかりやすい」「学びが楽しくなる」とチャレンジしている人々から高い評価を得ている。その誠実に学び続ける姿勢と、膨大に蓄積した知識を生かした講座は、ビジネス作家やコンサルタントなどの「専門家」も多く参加するセミナーとして全国で広く知られている。日本のリーダーの活躍を支援することをミッションに、全国で活動している。
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