この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。
ビジネス書の著者たちによる連載コーナー「ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術」バックナンバーへ。
今の20代の若者は、ゆとり世代、さとり世代などと言われている。この世代は、物欲も少なく、車、ブランド、お酒、旅行などにお金をかけず貯金をし、派手な暮らしよりも、平凡で安定した生活が何より幸せだ、というように定義されている。
しかし、これは本当なのか? 彼らの一面的な見方ではないか? 私はこの15年間大学で教えており、またゼミを行っているので卒業生も含めて20代を中心とする若者と日々一緒にいろいろなことを経験してきた。常に感じるのは、彼らは、決して冷めているのではないということだ。
むしろ、熱くなりたくても、その対象がないのではないか、どうしていいか分からないのではないか、と感じる。だから、ハロウィーンや、クリスマスなどのパーティには異常なほどエネルギーを注ぎ爆発する。あるいは、サッカーのワールドカップや予選もそうですが、祭ごと、イベントが大好きだ。それを「リア充」、という訳で、それらは熱狂できるハレの舞台であり、仲間とともに心から没頭できる時間なのだ。
松岡修造さんの暑苦しいキャラや、日めくりカレンダーがなぜ爆発的に人気なのか、ということだ。多くの若者が、彼の熱さに実は憧れ、励まされている。知り合いで毎朝彼のYouTubeの動画を見てから気合いを入れて出社する、入社2年目の銀行員がいる。
でも、本当は、仕事を熱狂の対象にすることが必要なのだ。仕事を面白くする唯一の方法は熱狂することだ。
熱狂しなければ楽しくならない。
熱狂しなければ、成長しない。
では、どうしたら熱狂して仕事ができるか。あるいは、経営者、管理者にとっては、どうしたら部下を熱狂して働かせることができるか。いくつかの視点から述べたい。
冷めた自分は過去の選択の結果だ
あなたには職業の選択の自由がある。あなたは今の会社に自分の意思で入社した。そしていつでも辞めることができる。現にあなたの同期で会社を辞めた人は大勢いるだろう。その人たちは、「会社を辞める」という大きな選択をした。同時に、あなたはすくなくとも今日まで「会社に残る」という選択をしてきた。
いつものように口うるさい上司に言われた仕事を粛々とこなし、代わり映えしないメンツで居酒屋でクダを巻こうが、それはすべて自分で選んだ行動であることを忘れてはいけない。
「できない理由」や「やらない理由」はいくらでも見つけることができる。
制度や環境がどうであれ、「そうではない方」を選択することは本当にできなかったのか? 本気で熱狂したのか?
「選択理論」で有名なウイリアム・グラッサーはこう言う。
「感情は行為によって変わる。行動は外部からの刺激で決まる訳ではなく、
最善だと思われたものを選択した結果。全ての行為は自らの選択の結果。」
選択するときは直感に従え
学生たちからは会社の選択、OBOGたちからは転職の相談をよく受ける。キャリアや人生において直面するさまざまな選択を難しくしている理由は、目の前にすべての条件を並べて、その中から最適なものを選ぶという行為が、そもそも実際にはできないからだ。
結婚相手を選ぶときに、分析的、戦略的に考えるだろうか? すべての候補者を並べてその中で一番条件の合う人と結婚すれば幸せになれるのだろうか。いかにしても100%完璧な環境などない。必ずメリットもあればデメリットもある。
キャリアや人生において「正解」はない。
将来どうなるかは誰にも予測がつかない。
だからこそ、いろいろ考えてみて結論が出ないのであれば直感を頼ればいい。直感は使うほど磨かれる。実際は選択そのものよりも、決めたら最高の結果となるよう、熱狂して動くことではないか? 結婚でもそうではないだろうか?
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