「ウサギとカメ」の本当の教訓とは?――童話の教えを疑ってかかってみると、人生の本質が見えてくる:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(1/2 ページ)
どうしてウサギはカメに負けたのか、あまりに有名な童話です。ウサギは油断して昼寝をし、カメはコツコツと歩みを進めてウサギを追い抜いた。しかし、これが思わぬ結果をもたらした本当の理由ではない。
この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。
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きっかけは、童話「ウサギとカメ」の話をめぐって、ある元経営者の方からこんな質問を投げかけられたことでした。
「上阪さん、どうしてウサギはカメに負けたのか。カメはウサギに勝ったのか、知っていますか?」
子どもの頃から、あまりに有名な童話です。ウサギは油断して昼寝をしてしまった。カメはコツコツと歩みを進めて、ウサギを追い抜いてしまった。
しかし、これが思わぬ結果をもたらした本当の理由ではない、というのです。では、いったい何なのか。
端的にいえば、ウサギとカメでは、「見ているところが違った」ということです。
ウサギは何を見ていたのか。ウサギは、カメを見ていました。だから、ノロノロとやってこないカメに、油断をしてしまったのです。
対するカメは何を見ていたか。ゴールを見ていたのです。カメがウサギを見ていたら、昼寝をしているウサギを見て、自分も休んでしまったかもしれない。ところが、カメはそうしなかった。ゴールを見ていたからです。
言わんとしているところは、ゴールは何かをしっかり見極め、競争相手に惑わされることなく、ゴールを見ることの重要性です。レースの本質をこそ、しっかり捉えよ、ということです。
カメはゴールを見ていたから、歩みは遅かったけれど、足の速いウサギに勝てた。「見ているところが違った」から、この結果が生まれたのです。
ハッとさせられる話でした。もしかしたら、これは仕事にも、人生にも言えることなのではないか、と思ったからです。商品開発、受注競争、出世競争、就職活動、貯蓄額……。「見ているところ」は正しいか、ということです。
ゴールを見ずに、隣ばかり、周囲ばかりを見てしまう。しかし、それがもたらすのは、カメに負けたウサギ同様、残念な結果の可能性があるのです。
そして、もっと大事なことがあります。それは、ゴールは果たしてちゃんとあるのか、ということです。ゴールが定められていないのに、いったい、どこに向かおうとしているのか。例えば、人生のゴール。
元経営者は語っていました。人生は大海原に漕ぎ出す船のようなものだ、と。ゴールがないとはつまり、大海原に出るのに寄港地が決まっていない、ということ。寄港地の決まっていない船は、いったいどこに向かうのか。ただ、船を走らせるか、浮かべているしかないわけです。
そんなことでは待っているのは、それこそ漂流か難破でしょう。なにしろ、行くべき港がないのですから。これでは航海、つまり人生は、うまくいくはずがない……。
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