「○○」を「××」することが明日への第1歩――ドラッカーの答えは「昨日」を「廃棄」すること:ITmedia エグゼクティブ オープンセミナーリポート(1/2 ページ)
ピーター・ドラッカーは、企業経営に最も影響を与えたひとりいわれている。ドラッカーの理論から最強の経営チームのつくり方を学ぶ。
ITmediaエグゼクティブ オープンセミナーに、トップマネジメント代表取締役である山下淳一郎氏が登場。著書「ドラッカーが教える最強の経営チームのつくり方」の内容に基づいて、繁栄し続けるために何をやるべきか、ドラッカーが教える具体的な仕事の一つを紹介した。
繁栄し続けるためにはどうすればよいか
「営業部の仕事は、営業をすること。開発部の仕事は、開発をすること。経理部の仕事は、経理をすること。同様に経営者の仕事は、経営をすることである。しかし経営するとは、どういうことなのかがまったく分からず、当時の会社の社長に尋ねてみた。答えは、"それを考えるのが経営者の仕事"だった」(山下氏)
経営学者であるピーター・ドラッカーは、「企業は誇りあるミッションをもって、人が価値ある仕事に取り組める場でなくてはならない」と語っている。山下氏は、「ドラッカーに出会い、誇りある目的をもって組織運営されている社会を作りたいと考え、コンサルティングを仕事にした。判断基準は、常にドラッカーのマネジメント理論である」と言う。
急激な変化の時代にあり、すべてが流動的な現在、「1.いまチャンスのとき!」であることを理解し、顧客から「2.それが欲しかった!と言われるために」どうすればよいかを考え、さらに「3.御社から買いたい!と認められるために」はどう行動するかという3つのポイントで実践する。
急激な変化のいまがチャンスのとき!
かつて情報を残すためには、木の板に彫る、あるいは巻紙に書くしか手段がなかった。しかし、1455年に印刷技術が登場したことにより、本が登場し、紙の需要が高まり、製紙事業や出版事業が誕生した。また本が登場したことにより、教育事業が登場し、学校制度が誕生した。印刷技術の発明が連鎖を生み、印刷革命が起きた。
次に1776年には、蒸気機関が発明され、鉄道事業、船舶事業、製造業、通信事業、郵便制度が誕生し、産業革命が起きている。さらに1990年には、米国の大学で利用されていたインターネットが、一般に公開されたことにより、今日に至るまで情報技術を活用した新しいビジネスが次々と誕生し、旧来型のビジネスを淘汰している。
山下氏は、「これがIT革命であり、現在は激動のまっただ中である。ドラッカーは、この大転換期は2030年ごろまで続くと語っている」と言う。
「次の社会はすでに到来した。元には戻らない。急激な変化と乱気流の時代にあっては、変化が常態である」――ピーター・ドラッカー
「いまがチャンスのときである。なぜならば、すべてが流動的だからである」――ピーター・ドラッカー
顧客のまだ満たされていないものを知る
船で漁に出るときに、あてもなく大海原をさまよっても大漁を望むのは難しい。しかし、海面に魚が飛ぶ姿を見つけることができれば、その水面下には多くの魚がいることを予測することができる。
顧客のまだ満たされていないものを知ることとは、 顧客に「売りたいものを売ること」ではなく「それが欲しかった!」と言われることである。 顧客に「それが欲しかった!」と言われるためには、顧客に「それが欲しかった!」と言われるためには、7つの視点で社会の変化を捉えていけばいい。これにより、新たなビジネスチャンスを発見することができる。その7つのうちの一つ、「予期せぬ出来事」について紹介した。
7つの視点のうち「1.予期せぬ出来事」とは、思ってもみなかったギャップの存在である。山下氏は、「医療費は年々高騰しているにも関わらず、日本の病院の多くは相変わらず赤字体質である。また、これまで就職難といわれ続けていたが、ほとんどの中小企業は人材不足だった。こうした例は、予期せぬ出来事といえる」と話す。
「1.予期せぬ出来事」には、「予期せぬ成功」「予期せぬ失敗」「予期せぬ要望」「予期せぬ出来事」の4つがある。山下氏は、「社会の流れは思ったとおりではない。むしろ思ったとおりでないことのほうが多い」と言う。
例えば、ある業績不振のリフォーム会社では、コンサルタントと予期せぬ出来事を調べた結果、予期せぬ要望が見つかった。その要望とは、「御社はパワーショベルやブルドーザーを持っていますか」という問い合わせだったが、電話を受けた担当者は、建築会社と間違えていると考え、その旨伝えて電話を切っていた。
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