女性マネージャーは必殺仕事人でいいのか?:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(1/2 ページ)
自分が失敗すると後に続く後輩達に迷惑が掛かる、女性は男性の倍働かないとなかなか認められないのか。自らを心理的に追い込んでいるのでは。
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女性マネージャー育成に困っている企業
女性活躍推進、というなんとも収まりのわるい言葉が巷であふれるようになりました。今までいわば男社会での二級市民扱いだった女性をなんとかメインストリームに押し上げようという昨今の動き自体は実に喜ばしいことです。
一方でビジネスの現場では混乱がおきています。女性マネージャーを育成せよとの大号令が懸かって真剣に取り組んではいるものの、どうもしっくりいっていない。仕事柄多くの経営者や人事担当者と会いますが、女性マネージャー育成関連の話題では、「女性が昇進を進めても希望しない」「社内でロールモデルを提示したら女性達から反発にあった」「女性を優先して昇進させたので社内の男性の志気が下がっている」「女性のことを悪く言えないなんともいえない雰囲気が社内にできてしまった」などの話を業態業種関係なく聞くようになりました。
この種の事態はどうして発生してしまったのでしょうか。女性マネージャーの育て方の工夫を多くの男性上司がしておらず、勝手な思い込みで育成を行ってきたことで、この種の混乱が起きているのではないか。人間行動を研究の中心とした経営学者である筆者はそう考えています。もちろん、男性ばかりが悪いのではありません。女性側も効果的に育成される、もしくは自ら進化する努力をすることが必要で、両方の工夫と努力が相まってこそ、効果的なマネージャー育成が行われるのです。
現状を知ってみる――必殺仕事人が多すぎる
まず現状を知るために、こんな図を書いてみます。縦軸に昇進意欲、横軸に能力をとって分類してみます。これはある一時期の状態を分類したもので、今後いくらでもポジションの変更が可能です。
わが国の現状で圧倒的に多いのは、必殺仕事人グループに属する人達でしょう。彼女達がより一層能力を磨き、昇進意欲を向上させ、組織の達人へとシフトしてもらうというのが喫緊の企業の課題です。
職場の花といわれる人種と彼女達がやっていた仕事の多くは、昨今では派遣労働者に取って代わられたので、このグループの相対的な数は少なくなっています。一方で、仕事ができないのに、昇進意欲が高いという又扱いに困るグループも発生しています。これはひょっとしたら、女性マネージャーの数値目標を念頭に実力や経験を伴わない昇進をさせたことの副産物として発生したのかもしれません。彼女達が変化するにはどのような経験や、教育が必要なのかについても考える必要があります。
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