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生物がミトコンドリアを内蔵して進化したようにビジネスはITを組み込んで進化するNTT DATA Innovation Conference 2017レポート(2/2 ページ)

カンブリア紀の生物は、ミトコンドリアを内蔵することで、急速に進化してきた。同じ状況が現在の企業組織にも起こっている。企業組織にITが組み込まれることで、市場革新が指数関数的に加速している。こうした状況下において、企業は何をすべきなのか。

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2045年の企業に求められること

 2045年にはシンギュラリティ(技術的特異点)の時代が来ると言われている。シンギュラリティとは、人工知能が人間の能力を超えることで起きる出来事。レイ・カーツワイル氏の著書『The Singularity Is Near』でも紹介されている。 

 シンギュラリティの源泉となるのが、ITの「3大要素技術」である「CPU」「ストレージ」「ネットワーク」の指数関数的な進化である。CPUは、これまでのビット単位から量子力学を応用した量子ビットへと進化する。ビットは0か1のいずれか1つの状態だが、量子ビットでは、0と1を重ね合わせた状態で存在し、従来に比べて1億倍の性能が期待できるという。

 またストレージは、DNAの構造に情報を書き込む「DNAメモリ」に進化する。DNAメモリは、1グラムのDNAに10億テラバイト(1ゼタバイト)のデータを保存できる。さらにネットワークは、量子の「もつれ」を利用して情報を伝達する「量子テレポーテーション」に進化。通信距離に関わらず、光デバイスの動作速度と同程度での通信が可能になる。

 「あきらめていたことを"できた!"に変えるのがテクノロジーである。テクノロジーの急速な進化により、これまでの制約(常識)は意味をなさない。ただし、テクノロジーが可能性を広げる時代だからこそアイデアが重要。企業の自由な発想とNTTデータの先端テクノロジーの掛け合わせでイノベーションが生まれる」(岩本氏)

 それでは、どのようにアイデアを得ればよいのか。本来は、何をすべきなのか。何をすべき企業なのか。顧客に提供すべき価値の本質は何かを問うことで、思わぬアイデアを得ることもある。これまで「できないから」と視野に入っていなかったものに気が付き、認識の殻を破ることができる。

NTT DATA Technology Foresight 2017

 NTTデータが先端テクノロジーと顧客企業の自由な発想を掛け合わせ、ビジネスの未来を拓くための技術の将来展望として公開するのが「NTT DATA Technology Foresight」である。毎年、NTT DATA Innovation Conferenceで発表される情報社会を取り巻く大きな潮流とITのトレンドが、今年も「NTT DATA Technology Foresight 2017」として公開された。

 NTT DATA Technology Foresight 2017では、インターネット、書籍、カンファレンス、有識者などの情報源から、政治、経済、社会、技術の4つの視点に基づいて、世界に変化をもたらす60種類の「重要課題」と154種類の「革新技術」を抽出。これを4種類の「情報社会トレンド」と8種類の「技術トレンド」に分類している。

情報社会トレンド

(1)個の影響力拡大が社会の変革を促進する

(2)オープンな連携が新たな社会のしくみを生み出す

(3)進化する価値が既成概念の転換を促す

(4)フィジカルとデジタルの融合が生活やビジネスの可能性を広げる

技術トレンド

(1)人工頭脳の浸透

(2)対話型コンピューティング

(3)環境認知ロボット

(4)プレシジョンライフサイエンス

(5)超臨場チャネルの獲得

(6)IoT時代のセキュリティ

(7)ITインフラの多様化とサービス化

(8)コラボレーションデザイン

 講演では、技術トレンドの中から(5)超臨場チャネルの獲得が紹介された。この技術トレンドでは、家のテレビが自分の好きなゴルフ番組を推奨してくれるのはもちろん、さまざまな視点でコースを確認したり、選手の鼓動やコースの風を感じたり、その場にいるような臨場感あふれるゴルフ番組を楽しむことができる取り組みがビデオで紹介された。

 岩本氏は、「日本画家である速水御舟は、"絵画修行の道程に於て、私が一番恐れることは、型ができると伝ふことである"と話している。これまで、スポーツでも、芸術でも、ビジネスでも、型を作ることが重要と教えられてきた。これからのビジネスは、好むと、好まざるとに関わらず、変化することが重要になる」と講演を終えた。

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