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ニュースリリース(NR)が白状する企業の本質――良いNRはその在り方を表すビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/3 ページ)

ニュースリリース作成力強化は、広報力のみならず、経営力強化にもつながる。

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理想的なNR作成の基盤とは……経営幹部が理解すべき3カ条

1、広報の目的は真人間(まにんげん)を育て真(まこと)の組織にすること:

 会社は法人です。例えるなら指先が社員、脳が社長。人も会社も血液や神経=情報で生きています。メタボになれば脳死、壊死(えし)に近づきます。広報とは内外への情報交通で会社を善(ぜん)の心で司(つかさど)り末永く敬愛されるように導く役割です。高いビジョンを抱いたトップアスリートのように、鋭敏で臨機応変に対応できる柔軟な身体=組織体、そんな社員たちの創造的仕事がNRのもとを創造するのです。経営者は、「広報は崇高にして典雅なる経営の仕事」として取り組まなければなりません。

2、広報は、周りの人々を喜ばせ、自信と誇りを抱かせること:

 良い報道によって有名になり、イメージが上がると、顧客や周りの人々が喜び、誇りと自信を抱き、社員は自立心を高めることができます。そのために、良いNRを作成して良い報道につなげるのです。

3、広報は"狭報(きょうほう:1対1のこと、筆者の造語)"に始まる!

 メディアの協力を得て多くの人に広報する前に、全社員一人一人が眼前の人に好印象を与えるよう全力を尽くす意識こそが重要です。1対1が原点になります。経営陣は率先して全社員一人一人が、CSRの前にPSR(Personal Social Responsibility)を果たす自覚を持つように、経営幹部は「細胞が人間を作り個人が会社を作る!」ことを肝に銘じるようにしましょう。

経営幹部による望ましいチェックポイント11カ条……NRを1人の人物と捉えよう

1、Visionが感じられる

 高いビジョンを持つ人は尊敬されます。人の心に響き、突き動かし、断固たる調子や確固たる態度で伝えることです。伝えたい「情熱費(Passion fee)(筆者の造語)」が重要です。「広告費」はいずれ尽きますが、あふれる「情熱費」は尽きません。

2、Visualで情景が浮かぶ

 商品・サービスは、工場や社員の頭脳から産まれるわが子です。その子の紹介には、写真や似顔絵が必要です。視覚に訴え、脳裏に焼き付けるのです。

3、関係性が一目で瞭然。間違いを無くす!

 偉人の説明には家系図、化学製品には化学反応図、M&Aでは関係図が不可欠です。そのまま掲載可能な図やイラストを付ければ記事も膨らみます。不十分なNRでは、記者と広報の間での問い合わせ&回答時間に関する労力は膨大になり、間違いリスクは非常に高くなります。

4、必要な情報を網羅

 顧客や社会に伝えたい、伝えるべき、知りたい、知るべき情報や不動の事実は網羅しましょう。「質問予測力」を駆使し、聞かれそうな項目は全て記述しましょう。記者に手間をかけさせないようにするのです。本当に伝えたい人は、企業もメディアも顧客や社会の人々です。経営幹部は、「顧客が共通」であることを肝に銘じましょう。

5、「今後の方針・見通し」を明確に

 方針なきNRは、将来ビジョンを語らない意志のない人間と同じです。経営幹部は、NRに確固たる経営の意志、意図が入っているかを常にチェックしてください。

6、いきさつがたどれ、物語る

 どんな事象にも物語があります。長い複雑な経緯を、いかに簡潔で分かりやすく整理し、推敲(すいこう)するかは思いやりの深さに比例します。

7、USP(Unique Selling Proposition = 特長・独自の売り、マーケティング用語) よりUDP(Unique Different Proposition = 差別点、筆者の造語)を明確に。

UDPなしに記者や顧客の心には響きません。常に冷静に比較を重んじる謙虚さを持ってください。そこで大切なことは、その比較表現に細心の注意と深い配慮をもって臨むことです。

8、顧客・社会への配慮が行き届く

 本当に伝えたい人は顧客、社会だということが分かれば、NRの不親切な点、配慮不足、傲慢(ごうまん)や怠慢な部分を見つけて見直し、恥じる気が芽生え、改善したい気が湧き起こるはずです。

9、自画自賛をしたらバックデータを忘れない

 広報はイメージコーディネーターです。化粧し服装を整えるのが役割です。タイトルは目……過度になれば化粧が偽装になります。どこまで化粧するかはビジョン、あるべき姿、人生観に関わります。「日本一」などと自画自賛をしたら、バックデータ(根拠)を示してください。そうでなければ信頼性を失います。

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