検索
連載

「もしかして、ブラック上司?」 ホワイト上司とブラック上司は紙一重ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(1/2 ページ)

良かれと思っていろいろやっているが周囲からはブラック上司だといわれていないか?

Share
Tweet
LINE
Hatena
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。


ビジネス書の著者たちによる連載コーナー「ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術」バックナンバーへ。



『もしかしてブラック上司?』

 管理職なんかやるもんじゃない。できればやりたくない。そう感じても仕方ないですよね。何しろ、管理職を巡る環境がややこしい。特に怖いのが「内部通報」。これを悪用する輩がいます。

 そもそも「内部通報」とは、法令違反、規則違反、パワハラ、セクハラなど不正行為や疑問などを組織内部の窓口に対して、匿名または実名で相談、通報するものです。これにより、事態の改善が意図されています。対象者に社会的制裁を加えようとする「内部告発」とは違います。ところが、内部通報であっても相手にダメージを与えることを意図して悪用される場合があります。困ったものです。

 例えば、相手のことが気に入らないとか、注意されたことに腹を立ててとかで、特定の人物を陥れるための手段として使われることがあります。私が知る限りでも、通報されたが故にいろいろ調べられ、最終的に「問題なし」となったのですが、嫌気がさして退職したり、うわさがまん延して居づらくなり退職に追い込まれたり、心を病んでしまったりしたケースがあります。皆さんの周囲でも結構あるのではないでしょうか。

 制度として確立していると、ひとたび通報があると、それが適切であろうとなかろうと、それなりのアクションを講ずることになり、当事者周辺を疲弊させます。2016年に消費者庁消費者制度課から、いわゆる「内部通報ガイドライン」が公表されて以降、おかしなことになってきていると感じています。

 社内での不正行為の完全撲滅は難しいと思います。これは人間の集団であるが故付いてくるものだと思います。それを発見した人が安心して話せる人が周囲にいないために、匿名などで通報せざるを得ないという状況。こちらの問題の方が本丸ではないでしょうか。ここをなんとかするための努力をせずに内部通報の制度だけを整備しているから、おかしなことになっているのです。

 お互いに助け合う、信頼し合う組織風土を醸成する。これは当然目指すべき姿です。ただし、大変です。それこそいろいろな人がいますので、戦略的に取り組むべきは、課長など組織の最小単位の管理職によるピープルマネジメント力の充実です。チームとしての成果を問う以前に、リーダーがメンバー一人一人と信頼関係を築くことを問うべきです。

 この信頼関係づくりにはリーダーの人間力が問われます。ただし、管理職になっていきなり、人間力を発揮せよ、といっても無理があります。適性もあると思います。人の面倒を見ることが苦手な人には向きません。管理職に昇進させるときに、仕事ができること(成果をあげていること)や個としての優秀さを問うだけではなく、メンバーとの関係性を構築できる「人間性」を重視することも大切です。入社したときから「チームのために汗を流すことが好きかどうか、やりたいか」を問い、その気がある人を対象に時間をかけてピープルマネジメントのケーススタディーに取り組んでもらうのです。その後、他の要件の充足度合いを見て昇進させる、という流れがいいと思います。

 じゃあ、そのケーススタディーってどうしたらいいの? となるはずです。そこで書き下ろしたのが『もしかして、ブラック上司?』という本です。良かれと思っていろいろやっているが周囲からはブラック上司だといわれてしまう行動例を「部下の心の声」として、たくさん紹介したものです。以下、その一例です。

       | 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る