リストラの5万人。選ばれた6000人。違いは「ラクして速い」仕事術:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(1/2 ページ)
力の入れ所と抜き所を押さえ、最速で仕事を進めよう。
この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。
ビジネス書の著者たちによる連載コーナー「ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術」バックナンバーへ。
私は、マーサー、アクセンチュアなど世界的な外資系大手のコンサルティング会社で24年以上、人事のコンサルティングをしてきました。一貫して行ってきたのは「人の目利き」で、5万人のリストラと6000人以上のリーダーとその予備軍の選抜と育成を行いました。
リストラされる人と選ばれる人の働き方で一番の違いは何か。
リストラされる人は「真面目で一生懸命。努力しても普通かそれ以下の成果でつらいだけ」。選ばれる人は「ラクして速く仕事をして成果をだし、評価され、楽しんでいる」ということです。真面目にコツコツ一生懸命やる人は「いい人」とほめられても、評価されません。課長にもなれません。途中で体調を崩すか、永遠に平社員です。
実際に活躍しているのは、眉間にシワを寄せて一生懸命働く人ではなく、涼しい顔でサクサク仕事を進めている人です。結論を言うと、努力はいりません。ラクに速く仕事をする方が、結果が出ます。さらに人生の選択肢も増えるのです。
この事実はごく一部の優秀な人しか知りません。その人は黙っているので広まらないのです。これは、国内外600社以上のコンサルティングの現場で、例外は一つもありませんでした。
1秒でも仕事を速く終わらせ、ムダな努力は全て排除しよう
誤解されやすいので最初に定義しますが、「ラクをする」とは「手抜きをする」ことではありません。力の「入れ所」と「抜き所」を押さえ、ムダな仕事を減らすことです。「ラク」とは、力の入れ所と抜き所を押さえ、ムダな仕事を減らすこと。「速く」とは、1秒でも早く仕事を終わらせること。力の入れ所と抜き所を押さえ、最速で仕事を進めるやり方を「ラクして速い」と定義します。
ここで盲点があります。実は個人の作業スピードをどれだけ上げても、生産性は上がらないのです。ショートカットや辞書登録で効率的に入力しても、朝、早起きして誰もいないときに出社して作業しても、言われた通り、素直にすぐ行動しても、方眼ノートやToDOリストを活用しても、やり直しになったり、むちゃぶりされたり、上司や先輩の指示が悪かったりすれば、1ミリも意味がないのです。
そう、自分の作業時間を速めるよりも、上司、関係部署、取引先といった他者とのやりとりの中で生産性は決まるのです。
早速1つ紹介しましょう。
仕事が速い人は、「短い打ち合わせ」をたくさん行う
上司や取引先から頼まれた仕事は「一発OK」をもらいたいものです。しかし、こちらが苦手と感じる相手に限って「指示した内容と違う」「データの分析が甘い」「そもそも論だけど」と、やり直しが多くなりがちです。やり直しは、生産性とモチベーションを一気に下げます。ではどうすればいいか。
実は簡単。確認やチェックの回数を増やせばいいのです。
苦手な相手ほど「なるべく話したくない」「打ち合わせは1回で済ませたい」と、避けたい気持ちになるものです。しかし、1回の長いミーティングでは一度ひっくり返されたら全部やり直しです。それよりも、1回のミーティング時間を短くし、その分回数を増やすといいのです。短い打ち合わせをたくさん行う方が最終的に効率よくにOKをもらえます。
1時間のミーティングで1発OKをもらうことを狙うよりも、5〜6分の短い打ち合わせを10回行うイメージです。
確認回数を増やすと、「この前言っただろう。何回言えば分かるんだ!」と「仕事ができないヤツ」と思われないかが心配になるでしょう。ご安心ください。どんな上司、取引先も「私のことを大切な存在と見てくれているか」と、常に不安に思っているので、確認されると逆にうれしいのです。
「進捗(しんちょく)状況を知らせ、安心させてほしい。大事な存在だと思ってほしい」という感覚は、リストラされるビジネスパーソンだけでなく、優秀な将来の幹部候補でも、部下や取引先に対し共通していました。
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