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第1回:相談できない新人にはこう向き合え新人が勝手に育つ「10秒会話と質問」(1/2 ページ)

新人は先輩方に質問できずに悶々と時間を過ごしてしまいがちだ。しかし、この無駄な時間を過ごしている事実は変えなければならない。

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 「なんでいつまでたっても指示待ちなんだろう?」「なんで、こんなに忙しいのに育成をしないといけないのだろう?」このような疑問を指導者であるあなたは、感じているのではないだろうか?


『10秒で新人を伸ばす質問術』

 一方で、新入社員や若手社員は、せっかく育てたにもかかわらず、あっさりと転職するという判断を早期に下してしまうことがあり、各企業は人手不足に悩み、新人教育の課題がこれまで以上に深刻になりつつある。ソフトバンクで2万人の社員教育に関わり、『10秒で新人を伸ばす質問術』(東洋経済新報社)を出版した人材育成のプロが、全9回にわたってその処方箋を提示する。

 あなたの職場の新入社員は、疑問点をスムーズに解消できているでしょうか? 新人は意外と先輩方に質問できずに悶々と時間を過ごしてしまいがちです。しかし、この無駄な時間を過ごしている事実は、指導者に極めて見えづらい部分です。なぜならば、指導者は、とても忙しく、新人のそばでいつも面倒を見ることができないため、様子を確認する余裕がないからです。

 極めて非効率なこの現状を打破していくことが、新人の効率的な育成に直結します。そこで、第1回目は、相談できない新人の向き合い方やその対処法について詳しく紹介していきます。

相談や質問が苦手な新人が気にしていること

 長年新人と接していると、教わり上手と教わり下手という2つのタイプが存在することに気が付きます。

 前者は、周囲からうまくアドバイスをもらいながら、良い成果を出していくタイプです。後者は、周囲からの助言をうまくもらえない、あるいは、もらおうとしないタイプです。

 私はあるとき、自信満々の新人A君に質問しました。「なぜ全部自分でやろうとして、もっとまわりの人に頼ろうとしないの?」

 A君の答えはこうでした。「自分一人でやろうとするのが、なぜいけないんですか? だって、まわりに頼ったら負けじゃないですか。一人で対応できない人というレッテルを貼られるのは絶対に嫌なんです」

 私は、別の新人B君にも同じような質問をしてみました。そのB君は、A君とは少し異なり、あまり自信がないタイプの新人でした。

 私:「業務を進める際にあまり自信がなかったら、もっとまわりに頼ってみたら?」

 B君:「もっと頼りたいのですが、なんか先輩方は忙しそうで、申し訳なくて……」

 このようにタイプは違っても、新人のころはまわりの先輩に頼ることを苦手に感じる新人がとても多いのです。頼ることは、「できない自分を認めること」であったり、「迷惑を掛けること」などと思っているわけです。

 ですから、指導者の私たちが新人に理解させるべきなのは、周囲に頼ることの意味です。その意味とは、周囲を適切に巻き込むことで、仕事を前に進め、より高い成果を出すということです。

 では、その意味を理解させた上で、新人A君には、具体的にどんなアドバイスをしたらいいでしょうか?

 例えば、A君には、「人に頼ることは負けることではないよ。うまく人に頼って、より良いものができるなら、そのほうが仕事の依頼者やお客さまはもっと喜んでくれて、あなたをさらに評価してくれるのではないかな?」というアドバイスが考えられます。

 それに添えて「頼られた人も、自分のアドバイスを生かしてうまくいったらうれしいと思うものだよ」などと伝えるといいでしょう。

 一方、B君には、「相談すると迷惑を掛けてしまうと思っているみたいだけど、頼るべきときに頼らず、最後に仕事の品質が落ちたらもっと迷惑を掛けるのではないかな? 良い仕事をするためにも、怖がらずに積極的にコミュニケーションをとるべきだよ」というニュアンスで伝えてください。

 最後に、周囲の先輩に相談したり、アドバイスをもらう際に有効なフレーズがあるので、相談することが苦手な新人がいたらぜひ教えてあげてください。

 「○○の役に立ちたいので、教えていただけないでしょうか?」

 このような仕事への思いを伝える頼み方は、受け取る側がアドバイスをしたくなります。新人でも、仕事への思いは十分に伝えられます。私が営業時代に、優秀な新人がアドバイスを求めてきたことがあります。

 「○○店の仲間が集客ですごく悩んでいるんです。うちの店舗は集客がうまくいっているので、何か役に立てると思ったんです。仲間が作成したPOPなのですが、見ていただけないでしょうか?」

 とにかく一生懸命、仲間のために頑張りたいという思いが伝わってきて、こちらもアドバイスしたくなりました。一人でできる仕事など、たかが知れています。新人の頃から、少しでも多くの先輩方の助言をうまく引き出し、より高い成果を出せるように指導してください。

匠の時短質問

周囲にアドバイスを求めるのが苦手な新人に対して

「誰かに頼るのは良くないことだと思ってないかな?」


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