『50歳からの幸せな独立戦略』で定年後は「ひとり社長」を目指せ:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(1/2 ページ)
「やっぱり大企業にいたほうが安心―」。これはもはや幻想にすぎない。すでに多くの人が頭では理解しているように、終身雇用や年功序列を前提とした日本型雇用は崩壊しつつあり、会社はいつまでもあなたを守ってはくれない。
この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。
ビジネス書の著者たちによる連載コーナー「ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術」バックナンバーへ。
会社にしがみつくこと自体がリスクになる時代
50歳前後のビジネスパーソンなら誰しも、定年までの働き方、そして定年後について思いを巡らせることがあるでしょう。言われて久しい、人生100年時代。「会社勤めの出世競争だけが人生ではない。第二の職業人生に向けて、もうひと勝負してみたい。家族を路頭に迷わせるわけにはいかないけれども、勇気を出して会社を飛び出す未来にもチャレンジしてみたい──」
あたなが、そんな思いを巡らせていたであろう2020年。私たちは、これまでの人生で経験したことのなかったコロナショックという災厄に直面しました。感染拡大開始から1年がたとうとする今も、大きな第3波が押し寄せるなど、今後どれだけ拡大し、いつ収束するのか、予断を許しません。ただ、コロナ禍による経済的な落ち込みは、この間の景気指標や日常的な実感に加え、100年前に大流行したスペイン風邪や、その後訪れた世界恐慌の歴史から学べば、当分続くことを覚悟しなければならないでしょう。
現在、企業に勤務している場合は、一時的には「会社の傘の下」にいたほうが逆風は凌ぎやすいかもしれません。しかし、コロナショックによってダメージを受けた企業は、すでにリストラを始めています。東京商工リサーチによると、2020年1月〜9月15日までに「早期・希望退職者募集」を実施した上場企業は60社で、6月までに2019年通年の35社を超えていました。
実は東京五輪後の景気落ち込みを想定し、昨年の2019年通期でもすでに前年比3倍増になっていました。つまり、2年前に比べると6倍のハイペースとなっているのです。またコロナショックの影響のなかった2019年でさえ、業績不振以外の企業が34.3%でしたから、今後も大企業での大規模なリストラが進むことが予想されます。
「やっぱり大企業にいたほうが安心―」。これはもはや幻想にすぎません。すでに多くの人が頭では理解しているように、終身雇用・年功序列を前提とした日本型雇用は崩壊しつつあります。会社はいつまでもあなたを守ってはくれないのです。
このように考えれば、ミドルが直面しているリスクはコロナショックにとどまらないことは、もう分かるはずです。今もなお、大企業でのキャリアにこだわり、会社にしがみつくこと自体がリスクなのです。もちろん、無防備のまま会社を辞めることは勧めません。相応の準備は、会社にいながら進めたほうがよいでしょう。ただし、それは決して会社にぶら下がり逃げ切る行為ではないのです。
高年齢者雇用安定法改正の見逃せないポイント
コロナ禍で日本中が大きく揺れ始めた時期に、「ルールが変わった」ことを示すニュースがひっそりと報道されました。2020年3月31日、高年齢者雇用安定法等の改正案が国会を通過したのです。改正前の法律では、定年の65歳への引き上げ、定年の廃止、65までの継続雇用制度の導入が、企業の実施義務として求められていました。これが、改正後は定年引き上げの努力義務年齢が70歳、継続雇用制度も70歳までと改められました。
ここまでの改正は今までの施策の延長線上ですが、特筆すべきはこの3つの選択肢のほかに、新たな2つの選択肢が加えられたことです。ここは重要なポイントなので、厚生労働省の資料の文言を引用しましょう。
「(4)高年齢者が希望するときは、70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
(5)高年齢者が希望するときは、70歳まで継続的に
a.事業主が自ら実施する社会貢献事業
b.事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業に従事できる制度の導入」
(4)はすなわち、会社から独立して、今までの仕事を業務委託で請け負うということです。これは、今までの日本企業ではあまり行われてこなかったものです。従来の雇用の枠組みの中での処遇と比べて、より踏み込んだ方針が政府から示されたのです。シニア社員の処遇に悩んでいる企業にとっては、この新たな選択肢はまさに渡りに船といえるものかもしれません。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.