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コロナ禍のいまリモートコミュニケーションスキルを身につければ一生ものにITmedia エグゼクティブ勉強会リポート(1/2 ページ)

新型コロナウイルス禍により、多くの企業がリモートワークを導入しているが、コミュニケーションの不自由さから生産性が低下する企業もある。リモートワークで生産性を向上させる効果的なコミュニケーションを学ぶ。

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 ITmedia エグゼクティブ勉強会に、ビジネスコーチのパートナーエグゼクティブコーチで、ファイヤーの代表取締役である長田卓史氏が登場。受講者がZoomのビデオ表示やチャット機能を利用しながら参加するグループワークを交え、「リモートワークで生産性を高めるマネジメント4つの観点」をテーマに講演した。

ウィズコロナ/アフターコロナ時代の働き方の変化


ビジネスコーチ パートナーエグゼクティブコーチ、ファイヤー 代表取締役 長田卓史氏

 ウィズコロナ/アフターコロナ時代において、個人レベル、企業レベル、社会レベルで大きな変化が起きている。例えば個人レベルでは、短期的には感染防止のための3密回避、中期的には孤独感の増大、運動不足、健康意識の高まり、長期的には働き方の多様化による地方移住の流れへと変化していく。

 また企業レベルでは、短期的にはリモートワークの推奨、中期的には社内外の事業をいかにオンライン化するか、長期的にはグローバル分散がテーマ。さらに社会レベルでは、短期的には感染症を抑制し、パンデミックのない社会を実現すること、中期的には教育・医療のオンライン化、長期的には治安低下がテーマとなる。

 ウィズコロナ/アフターコロナ時代の働き方の変化では、オフィスへの出社とリモートワークのハイブリッドになる。そのため、従来の成果+労働時間ではなく、成果だけで評価され、上司と部下の関係では、これまでのチームミーティングから、1対1のミーティングが重視されることになる。

 長田氏は、「会議や商談も対面とリモートの使い分けの時代で、世界中どこでも勤務が可能です。リモートワークで成果を上げるには、いかにモチベーションを低下させないかが重要。モチベーションを低下させる要因は、不安や疑心暗鬼など。これを解消するためには、上司が1対1で部下の話を聞くことが重要です」と話している。


長田氏の自宅スタジオ

テレワークでは隠れ孤独を早めに見つけることが重要

 ある調査では、リモートワークの利用者の不安は、非対面のやりとりは相手の気持ちが分かりにくい(37.4%)、上司や同僚から仕事をサボっていると思われないか(28.4%)、上司から公平・公正に評価してもらえるか(22.6%)の3つ。一方、不安はあるものの約7割の利用者が「今後もリモートワークを続けていきたい」と答えている。

 別の調査では、テレワークにより生産性が上がった国、下がった国がある。下がった国は日本と韓国で、インドなどは生産性が上がっている。長田氏は、「外資系企業のようにジョブディスクリプションが明確で、ストレートなコミュニケーションができる企業はリモートワークでも問題なく生産性が向上します」と話す。

 一方、日系企業のように、ざっくりと仕事を任せて、顔を見ながら指示、命令するような企業では、リモートワークにより生産性が下がってしまうことがある。テレワークの最大の課題は「孤独」である。長田氏は、「2020年10月の自殺者数は、女性が1.8倍、男性が1.2倍。自殺者数がこれだけ多いのは社会的な問題です」と語る。

 テレワーク利用者の調査では、孤立している(28.8%)、仲間がいない(25.4%)、本当に分かってくれる人がいない(24.3%)、頼れる人がいない(23.9%)、だれからも無視されている(19.1%)と報告されている。リモート会議では、「大丈夫です」と言っている隠れ孤独の利用者を、いかに早く見つけるかがカギになる。

 「コミュニケーション手段により、報告、連絡、相談、雑談がどのように変化するかという調査では、対面時には相談6割、雑談4割のコミュニケーションが、メール、チャット、電話、リモート会議では、相談3割、雑談2割以下になっています。この結果から、意味のある雑談、相談する機会が非常に重要になります」(長田氏)

リモートワークで生産性を高める4つの観点

 眼鏡メーカーのJINSでは、目の動きにより生産性を測るセンサーを眼鏡に取り付け、8時間の作業中にどれだけの時間集中できるかを測定した。測定は、オフィスのように作業環境が良い場合と自宅のように作業環境が悪い場合の2つの環境で、育児あり、夫婦、単身の3つの条件、6ケースで測定した。

 作業環境がよく育児ありは該当がないが、作業環境が悪く育児ありでは25〜40%しか集中できなかった。また夫婦では、作業環境が良ければ42〜50%、悪ければ26〜36%。単身では、作業環境が良ければ65〜85%、悪ければ46〜56%という結果だった。この結果について長田氏は、次のように話す。

 「単身者は、作業環境が整えばリモートワークの方が生産性は向上しています。ただし、生産性は状況によって変化するということを頭に入れておかなければなりません。1人でがんばってしまうため、燃えつき症候群になってしまう可能性もあります。そこで、上司が仕事を終わらせるケアをすることが必要です」

 リモートワークで生産性が下がるのは、本当に仕事をしているのか、上司が不安になってしまい、マイクロマネジメントになってしまうことも要因の1つ。リモート会議では本題しか話すことができず、ちょっとした相談があっても話しづらいため体調や気持ちの変化が分かりにくいこともモチベーションや生産性が低下する要因である。

 リモートワークで生産性を高めるためには、快適なオフィス環境、安定した通信インフラ、Web会議やチャットなどのICTツールへの慣れ、資料・決済のペーパーレス化、育児・家事の協力、メンタル身体的疲労のケアなどが重要になる。

 長田氏は、「現在、多くの企業がにICTツールを活用するためのトレーニングを実施しています。こうした取り組みにより、リモートワークでのコミュニケーションを加速させ、モチベーションを向上させることにつながります」と話す。モチベーションを構成する要素は、大きく以下の5つ。

  • 求められるスキルが多い(技能多様性)
  • 仕事全体を把握できる(タスク完結性)
  • 他者や社会に良い影響を与えている(タスク重要性)
  • 仕事の進め方に関与(自律性)
  • 実践の効果に対する評価(フィードバック)

 フィードバックでは、「今回は○○がよかった」「次は○○すればさらによくなる」という2行をメールやチャットに加えるだけで効果的になる。また仕事の意味が明確で、自己肯定感が向上する仕事の任せ方も重要になる。

 リモートワークで生産性を高める観点は、(1)メンバーとの信頼関係、(2)心理的安全性の高い場の創出、(3)仕事の任せ方、(4)評価制度の4つ。メンバーとの信頼関係では、1対1の対話で不安を解消し、信頼、思いやり、安心、希望を感じてもらう。

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